私たちが、源氏物語の頃の文章を読んでも理解できないように、語は、時代とともに変化します。“また”や“さらに”などのように、一つの語がいくつかの品詞に分類される場合や、“それから”のように、いくつかの語が連なってできたものも数多くあります。そもそも日本語に「接続詞」はありませんでした。例えば、“さて”は指示副詞の「サ」と助詞の「テ」で構成され、平安時代の土佐日記に最も古い用例が見られます。その“さて”が、源氏物語の中では副詞としても、接続詞としても使われており、さらには“さてさて(いやはや、というような意)”と、感動詞としても使われています。その後江戸時代には、“はてさて”とも使われるようになりました。接続詞はやがて感動詞へと変化します。別れの挨拶の“さらば(さ、あらば)” “さようなら(さよう、ならば)”などもその一例です。歴史的変化の流れは、副詞や名詞だったものが接続詞となり、最後は感動詞となる、という流れで、逆はほとんどありません。一つだけを見ると、それだけが変化しているように見えますが、文法的な変化は一方向で流れているのです。このように、語を全体から見てみるのは面白いものです。みなさんも探してみてください。

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岡﨑 友子教授文学部 日本文学文化学科

  • 専門:日本語学、国語学
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