食料供給不足で食料需要過多の飢餓状態の地域が多い途上国と、食料供給過剰で食料需要不足の飽食地域が多い先進国、と世界が二分されているのは何故でしょうか。食料供給は、天候だけでなく、米を作るための稲、肥料、農薬といった投入財価格の変化や高収量品種の開発、農業の工業化といった生産技術の発展にも影響されます。また、食料需要には人口の増加率が大きく影響します。途上国のように人口増加率が高いと、食料需要も高くなります。もう一つ、食料需要に大きく影響しているのが、需要の所得弾力性(所得が増えた分で何を買うかを計り、示す尺度)です。所得が増えると、一般的には海外旅行やバイクなどを購入するため、食料の所得弾力性は非弾力的になります。このため所得が増え、経済が成長したからと言って、必ずしも食料需要にはつながらず、食料需要は相対的に縮小するとも言えるのです。さらに途上国では、供給側の生産技術の発展が少ないにもかかわらず、需要側の人口増加が多く、まずは食料を必要とする需要が大きいため、食料の供給不足・需要過多を抱えやすい構造を持っていますが、先進国ではその逆です。つまり、それぞれの国の経済構造が、食料需給構造に大きく影響することから、先進国と途上国の食料需給はアンバランスになりやすいのです。

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佐野 聖香准教授経済学部 国際経済学科

  • 専門:経済学、経済政策、地域研究
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