ボランティア活動は、私たちの日常に定着しているようで、実際は人手が不足しているというデータがあります。また、ボランティアの高齢化などの問題もあります。このような状況を受けて、従来のような、人や社会のために自分の時間や労力を惜しまないタイプではなく、自分探しのためやキャリアに役立てるため、ただ楽しいから、といった新しいタイプのボランティアも現れています。数年前、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気の患者への支援表明に、氷水をかぶるというムーブメントが起こり、ALSへの社会の認識が高まりました。こうした新しいタイプのボランティアたちは、気が向いたときに好きなようにやっていて、「認められればうれしいけれど、認められなくても構わない」という感覚で、社会に貢献していることにさえ気が付いていないのかもしれません。また、調査に協力することには興味が薄いため、ボランティアの数が足りないといったような調査結果は、新しいタイプのボランティアの存在を見逃している可能性が大いにあります。彼らと一緒に活動ができるようになるために、その活動を把握し、調査に協力してもらうにはどうしたらよいのでしょうか。新しい組織のあり方や、新しい人間関係の持ち方についても工夫が必要です。学びを深め、どのようにお互いを認めて共存し、高めていけるのかを考えていきましょう。

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須田 木綿子教授社会学部 社会学科

  • 専門:高齢者福祉、非営利サービス供給組織論、日米比較
  • 掲載内容は、取材当時のものです