高さが60mを超える、または20階以上の、いわゆる「超高層マンション」は、2000年頃から急激に増加しています。経年による機能や性能の劣化に対し、その資産価値を維持するためには継続的な補修・改修が欠かせません。そのため修繕の長期計画や修繕積立金の計画がされており、今後は、急増した超高層マンションが、国土交通省のガイドラインにある12年目前後の大規模修繕を行うことで、ここ数年の修繕が増えると予想されます。こうした大規模修繕工事の場合、一住戸あたり100〜200万円の高額な費用がかかるだけでなく、工事の必要性、内容、金額、期間、設計者・施工者の選定方法などについて、住民たちの合意形成が必要です。ところが、ほかの所有者との共有財産であることの認識が薄く、購入する階での所得格差や投資目的の所有者、外国人の増加や高齢化、共同生活に無関心などといった問題を抱えています。設計者や施工者にも課題があります。超高層マンションの修繕はゴンドラを使った作業が主になりますが、設計段階から改修工事を意図した計画が必要です。また、施工の経験不足を補うための改修仕様が必要で、適切な技術の開発と共有や構工法選定能力、修繕周期の長期化の検討、高耐久材料使用など、さまざまな対策が必要です。超高層マンションは建て替えができません。長持ちさせるための工夫を積み上げていく必要があるのです。

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秋山 哲一教授理工学部 建築学科

  • 専門:建築経済、建築生産、地域の住宅生産システム、プロジェクト・マネジメント
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