保育者にとって重要なことは、子どもの心の発達を支え、子育て期の親を支えるといった役割を果たせるよう、実践力を磨くことです。例えば、1歳の赤ちゃんが激しく泣いているとします。まず、空腹や、清潔、便秘などの不快な理由はないか、発熱、外傷等身体異常はないか、いつもの泣き方と違うと感じる点などを養育者に確認します。そして、深刻ではなさそうだとわかったら、最近の様子で気になることや、養育者側の感情、もともとの子供の気質などを確認します。子どもの気持ちを汲み、本来持っている力を出せるよう促す言葉かけをし、養育者が主体的にどうしたらよいかをつかめるような支援をしましょう。子育てのイライラや不安は、わからない、自信が持てない、といったことから始まるので、これでよい、と言ってもらえると気持ちが救われるものです。子どもは5カ月頃には自分の意思で寝返りし、1歳を過ぎると自分で考えて自由に行動し始め、体験が広がり、大きな自信とうまくいかない葛藤やくやしさ、転んだ時の痛みなど、感情体験を積んでいきます。記憶力も高まり、昨日の体験をしっかり覚えていて、寝ている間にもう一度感情を体験するので、突然目を覚まして泣くこともあります。こうして心が発達し、成長していくのです。今自分が置かれている状況を理解し、きっと乗り越えられると予測し対処することで、私たちは成長し、前向きに生きていくことができるのです。困難を成長の糧にできるような大人として、子どもや親たちと向き合っていきたいものです。

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中原 美惠教授ライフデザイン学部 生活支援学科 子ども支援学専攻

  • 専門:教育心理学、教育相談、子育て支援
  • 掲載内容は、取材当時のものです