メディア(情報メディア)というと、マスコミのことを指すと思われがちですが、手紙や電話、表情、ジェスチャー、あるいはインターネットやSNSなどの情報を伝えるものは全てメディアです。もともとメディアの語源は、英語でmedium(媒介、仲介者、仲立ちするもの)であり、「情報」を仲立ちすることを意味します。情報メディアとは情報・知識を伝える社会のしくみ全体を指しています。この20年間ほどで、情報メディアの環境は激変しました。インターネットが普及し、SNSやスマートフォン等を含め、重要な情報の流通を担うようになりました。さらに、人工知能の登場によって、仕事が自動化するようになり、今後はこれまで以上に私たちの生活は大きく変化していくかもしれません。その代表例が「職業が消える」問題です。レジや受付係、弁護士助手や会計士などの知的な職業までもが、AI(人工知能)などのしくみにより、さらに効率化され、人間がやらなくてもいい仕事になると予想されています。情報学とは、このように世の中のしくみが大きく変わろうとしている現代社会において、情報メディア環境が社会のあり方やしくみ、個人の生き方や考え方にどう影響を与えるかを、文系のアプローチと同時に、自然科学等の理系の知識も用いて研究する学際的な学問です。情報メディア環境が変わることによって、社会は良くも悪くもなり、個人は生きやすくも生きづらくもなります。どうすればより良い社会になり、一人ひとりの人生がより良くなるかを、情報学をコンセプトに一緒に考えていきましょう。

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海野 敏教授社会学部 メディアコミュニケーション学科

  • 専門:情報学、図書館情報学
  • 掲載内容は、取材当時のものです