地震災害は、強い揺れ・弱い構造物・弱い地盤の3つが重なると大きな災害となります。軟弱地盤は、地震時の揺れや変形がより増幅し、被害が大きくなります。これらをしっかり検討して設計を行う必要があります。軟弱地盤の判定法として、微地形図などの公判資料から、低地や台地だということや、条件などをふまえて、大まかに判読する方法がありますが、構造物を作るときに、それでは情報が足りず、設計ができないので、鉛直に穴を掘り、地層構成や硬さを調べるボーリング調査をします。ただし、これは1mの掘削につき10万円と高額で、簡単には行えないため、地表の振動特性から判断する微動調査を採用すると、安価に判定が行えます。微動計測による地盤判定として、人が感じる揺れでなくとも、地盤は常に振動しており、この揺れを計測して水平動と上下動の振幅比を計算すると、表層地盤の固有振動数が決められます。その振動レベルに応じて、強振動は、設計地震動としての活用から、大地震後の健全性のチェック、微振動は振動特性のチェックに活用できます。現在研究している、強い揺れのデータと地盤条件の関連の分析や、住宅地や造成地の揺れ特性の評価、振動計測による構造物の健全性評価について、振動のデータを有効に活用していきたいと思っています。

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鈴木 崇伸教授理工学部 都市環境デザイン学科

  • 専門:地震工学・構造工学、構造物の健全性評価、ライフラインの防災対策
  • 掲載内容は、取材当時のものです