脱水状態を知るために、体液量の異常を検知するには、浸透圧を測る必要があります。心臓を調べて循環機能を計測すれば、頸静脈圧変動は右心房に直結しているため、右心機能の有効な診断情報となりますが、カテーテルなどを使うため、体に負荷がかかってしまいます。そこで、耳から脱水がわかる方法を開発しています。中耳の下にある“頸静脈球(静脈のたまり)”に、右心房の収縮時の振動が伝わるので、その振動を外耳道側からセンサーで測定すれば、静脈血行動態が把握できるのではないか、と考えたのです。外耳道に隣接する血管は静脈であり、外耳道の振動の中心的なものは頸静脈圧変動です。外耳道の周りの静脈は右心房とつながっているため、イヤホンをするように耳栓をして外耳道の中の振動を捉えれば、心臓の振動を捉えることになるのです。脱水状態については、飲水によって一時的に血液量を増加させ、その時の静脈血行動態の変化が外耳道から測定できているのかを検証することで測定します。一定時間ごとに採尿すると、飲水によって静脈のボリュームが増えて全身に回り、尿の量が一気に上がりますが、時間が経つとなくなります。それと同じように、飲水直後は外耳道内圧が上がりますが、次第に緩やかに下がっていき、時間が経つと元に戻るのです。この装置を実用化に向けて小型化し、今後実際に、医療の現場や高齢者の見守り、透析患者の動態の把握などに役立てていきたいと考えています。

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寺田 信幸教授理工学部 生体医工学科 メディカルロボティクス研究室

  • 専門:医工学、ユビキタス医療診断システムの開発
  • 掲載内容は、取材当時のものです