日本における大気汚染は、2010年以降、光化学スモッグの被害人数が激減するなど改善されています。その一方で、諸外国、特に東アジアの発展途上国では非常に深刻な状況にあります。また、WHOの推計では、大気汚染での死者数が700万人とされ、国際がん研究機関の発表では、アスベストや喫煙と並んで大気汚染の発がん性が高いと分類されています。主な大気汚染物質は、オゾンや窒素酸化物の二酸化窒素(NO₂)などの化学物質で、特にスモッグの問題は戦後70年以上、大きな社会問題となっていました。しかし、それはオゾンの影響だということが2009年に解明され、排出源対策によって現在はほぼ克服しつつあります。オゾンは人間だけでなく植物にも悪影響で、光合成速度が低下し、収穫量が減少してしまいます。このような大気汚染の影響を人々が受けないために、大気汚染防止法で自治体が大気を常時監視しているのです。しかし、これには大掛かりな機械を使って市役所職員、研究者などが作業をしており、多額の費用もかかります。そこで、私の研究室では、簡便に計測ができ、誰でも使えて安価な、化学反応を利用した大気汚染物質の小型の検出素子の開発に取り組んでいます。大気中のNO₂に反応して着色するザルツマン試薬を、1円玉より小さな多孔質ガラスに染み込ませ、大気に暴露し色調の変化でNO₂の濃度レベルを判断しているのです。

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泉 克幸教授理工学部 応用化学科 大気化学研究室

  • 専門:環境化学、環境大気の化学分析に関する研究
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