植物の病気を防ぐために、地域の天候に合わせた品種や病気に抵抗性のある品種などが開発されています。それでも、さまざまな病原菌によって病気が発生するため、農業用殺菌剤が用いられます。農薬がないと収穫が減ってしまうため、食料問題にも役立っているといえます。では、安全面はどうでしょうか。毒性が高いと思われがちな農薬ですが、砂糖や塩と同じように、毒性を決めるのは投与量で、しっかりとリスクも理解したうえで使用するという考え方をします。農作物を経由して人の口に入る可能性や、環境に散布されることを考慮して、10年以上の期間と100億円もの費用をかけて、厳しい評価や試験が繰り返されます。さまざまな動物に対して毒性が出ないとされるまで濃度を下げた値に、さらに100分の1という安全係数を掛けた“1日摂取許容量”を算出し、植物の残留農薬試験でこれを下回れば、農薬使用基準として認められるのです。これらのことから、おおむね日本の農作物は安全だと言えるのではないでしょうか。最近は、特定のターゲットに非常に低濃度で活性を示す新薬が開発されています。一方で、特定の病原菌以外には効果がなく、そのターゲットに耐性ができてしまうというデメリットにもつながります。そこで、さらに新薬の開発が必要となるのです。日本は農薬の開発力が非常に高いと言われています。みなさんにもこの分野で、将来活躍してもらいたいものです。

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藤村 真教授生命科学部 生命科学科 環境応答研究室

  • 専門:ケミカルバイオロジーを利用した新規抗真菌剤の標的探索
  • 掲載内容は、取材当時のものです