企業会計には、「財務会計」と「管理会計」という二つの領域があります。「財務会計」は、会社の財政状態や経営成績を、外部の利害関係者に、貸借対照表や損益計算書により報告する分野です。一方、「管理会計」は、会社の経営管理や、経営者に報告するための会計で、いろいろな捉え方、考え方をする分野です。例えば、製造原価150円、販売価格500円の商品を店員がうっかり落としてしまった場合でも、お店や商品の状況といった前提条件が違うため、損失は変わってきます。たとえば人気のパティシエのいるケーキ店では、毎日昼頃には売り切れてしまう看板商品のロールケーキの場合、完売が前提となり、販売価格の500円を得られる機会を失ったと考え、損失は500円です。そば店でたぬきそばを床に落とし、作り直して提供した場合は、落とさなかった場合の利益を500-150=350円、落として作り直した場合の利益を500-150-150=200円とすれば、損失は150円となります。さらに、常に在庫があるように多めに仕入れて、多少の売れ残りを廃棄することをやむを得ないコンビニのお弁当の場合、廃棄するお弁当が一つ減ったという考え方をするため、一つ落としたとしても損が出たとは考えず、損失は0円とされるのです。このように、「管理会計」の分野では、商品の特性や現場の状況などによって損失や費用の考え方が大きく異なります。管理会計を学ぶうえでは、その時々の状況に合わせた捉え方、考え方が重要になるのです。

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会田 富士朗准教授経営学部 会計ファイナンス学科

  • 専門:原価計算論
  • 掲載内容は、取材当時のものです