消費税の導入や引き上げに踏み切った内閣は退陣に迫られることもあり、消費税にあまり良いイメージを持てない人もいるでしょう。現在の安倍内閣も、増税を4年も延期していますが、みなさんは消費税増税再延期に反対ですか?賛成ですか?実は消費税増税延期によって50代以降の高齢者は負担が減る一方で、若者世代への負担は増すと試算されます。消費税を延期している間にも、借金がどんどん積み上がり、この借金返済の負担が将来に残され、若者の負担が大きくなるためです。また、将来不安による消費の抑制や世代間不公平が生じるということも考えられます。この不公平は、若者が熟慮せずに増税延期を選択することや、選挙に参加しないために若者の意見が反映されず、高齢者受けの良い政策が採用されるといったことからも起こります。アメリカの人口学者や大学の教授たちが、一票の重みや選挙区を大幅に変えるなど、思い切った選挙制度を考案しましたが、どれも現実的な対策ではありません。それよりも、若者世代がしっかりと考えて投票することが最短の対策となるのではないでしょうか。経済は生き物で、1つを変えればその影響があちこちに波及します。考えるヒントを得たら、自ら学び、さまざまな影響について論理的に積み上げて考えていくと、見かけで単純に考えた場合の結論と違い、思いもよらない結論が出てくる場合があります。これこそが経済学を学ぶ意味や面白さなのです。

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三平 剛准教授経済学部 経済学科

  • 専門:経済学、マクロ経済学、経済政策
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