フランク王国のシャルルマーニュ(カール大帝)は、当時の風習に倣い、3人の息子たちに等分して相続をしました。しかし長男、次男が早死にをしたので、三男ルイが王を継ぐことになりました。そしてルイは、自分の長男ロテールを後継者とし、3人の息子に等分に遺産相続をしました。ところがルイは、のちに若い妻をもらい、新たに子供が生まれたのです。この子をかわいがったルイは、すでに決まっている三等分の遺産相続を取り戻し、4人目の子供にも分け前を作ろうとしました。取り分が減ることを恐れた息子たちは、結託して父親に反発しますが、長男は失敗して失脚、結果、長男の分け前が4人目の子供にわたることになりました。納得のいかない長男は再び反乱を起こし、嫉妬と憎悪を募らせて弟と結託して同盟を組みますが、弟は、長男の無能さと人柄の悪さに嫌気がさし、4人目の子供と新たに手を組むことにしたのです。この2人と対決した長男率いるロテール軍は惨敗。長男を除いた2人で、ライン川を挟んだ東側のドイツ語圏と西側のフランス語圏で地域を分割することになったのです。2人は賢く、お互いの領地の間の、川沿いの細長い領地を長男に与えることで緩衝地帯とし、のちの貿易を発展させるきっかけとなりました。こうして遺産相続争いののち、今の独仏伊が形成されていったのです。

ph_morita.jpg

森田 信也教授経済学部 総合政策学科

  • 専門:言語学、ラテン語
  • 掲載内容は、取材当時のものです