ユーロはヨーロッパで用いられている通貨で、EU加盟国19カ国を含む23カ国で、3億人以上が使用しています。これほど多くの国で使われる通貨は世界でも珍しいといえるでしょう。硬貨の表面の模様は各国共通で「たくさんの国をつなぐ共通の価値」を、裏面は発行国ごとに異なり「それぞれの国の言語や文化の尊重」を表現しています。紙幣には、ヨーロッパであることの主張として、ヨーロッパの語源となった人物“ウローペー”の顔が、また、いろいろな国をつなぎ、新しい国の参加も歓迎することを象徴した橋や窓が描かれています。さらには、それぞれの国を尊重するという意味で、さまざまな言語で「中央銀行」と記されているのが特徴です。現在、1セントや2セントといった少額の硬貨を不要とする動きや、逆に、高額紙幣は犯罪にも便利に利用されてしまうのでなくしていこうとする動きなどがあります。それに伴い、現金ではなく、クレジットカードや電子マネーの利用が急激な伸びを見せており、電子通貨(Eキャッシュ)の発行についての議論が交わされています。では、電子通貨が実際に発行された場合、世の中はどうなるのでしょうか。電子通貨の入ったスマートフォンが故障した時には誰が保証するのかといった法的な問題や、今後の銀行の役割といった経済的な問題など、さまざまな側面から議論をする必要があるのです。そのためにも、経済学における、国際金融論や国際経済学、マクロ経済学といったあらゆる分野について学び、将来どのようにすべきなのかを考えていってほしいものです。

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川野 祐司教授経済学部 国際経済学科

  • 専門:ヨーロッパ経済論、金融論、国際金融論
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