日々私たちが気づかないうちに、生態系から受けている恩恵を「生態系サービス」と呼び、それは次の4つに分けることができます。生活で使う食料、木材、繊維、医薬品といったあらゆるものを「供給サービス」、木や森によって気温を下げ、土砂崩れを防ぐなど生活の基盤となる地球の調整を「調整サービス」、レクリエーションや環境といった、文化的、精神的に自然から受ける恩恵を「文化的サービス」、これらを支える光合成や水環境、土壌形成などを「基盤サービス」と言います。私たちはこうした生態系サービスを毎日のように、自然から無意識のうちに受けているのです。そして、生態系サービスは観光と深いかかわりをもっています。生態系と観光の関係性のバランスを保っていくためには、観光が生態系保全に貢献しているメリットを最大限に活かし、悪影響(リスク)を最小限にして「利用しながら守っていく(Wise Use)」ことが重要です。たとえば、入場料を設けて保護区域の財政支援をする、経済的価値を創出して資源や絶滅危惧種を守る、教育を通じて保全の価値を伝えていく、地域住民の雇用を促進して保全の動機を与えるといったことは観光が生態系保全に貢献しているメリットであり、インフラ整備のためにおこる環境破壊、外来種の侵入、野生生物への悪影響などは最小限に抑えなければなりません。生態系が破壊されることは、私たちが恩恵を受けている生態系サービスも失うことになります。つまり、観光は生態系を守りながら続けていくということが大切なのです。

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藤稿 亜矢子准教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:自然環境保全、環境政策、エコツーリズム、サステナブルツーリズム、地域活性化と観光
  • 掲載内容は、取材当時のものです