歴史学とは、過去との対話・コミュニケーションです。「漢字はどのようにできているのか?」ということの理解を深め、徐々に歴史のオリジナルな資料に触れながら、過去との豊かなコミュニケーションに必要なスキルを身につけていきます。
江戸時代は庶民が大量に古文書記録を残した時代です。その背景には、兵農分離制度のもと、武士が農民を文書で支配し、武士の城下町集住による都市商業の発展によって商人が帳面をつけ始めたことで、庶民の間で読み・書き・算盤の学習熱が発達し、識字率が高くなったことがあります。そのため、多くの資料が活字で残されてはいません。
江戸時代の勉強には直接古文書を読んで学ぶ「古文書読み」が必要です。今回は、村のリーダーである名主の交代を代官所に認めてもらうために江戸幕府に送った「信濃国伊那郡福与村の名主交代一札」という比較的易しい文書を、一字ずつ解説しながら文字や書式の理解を深め、読み進めていきます。こうして古文書を読んでみると、武士によって一方的に農村が管理されるのではなく、民意を汲みながら管理されていた様子が見えてきます。このように過去とのコミュニケーションを通じて、その時代の状況を理解することで、古文書を読む楽しさが分かってくるでしょう。それが、歴史を考えるというステップの始まりなのです。

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白川部 達夫教授文学部 史学科

  • 専門:日本近世史
  • 掲載内容は、取材当時のものです