歩けるようになったばかりの子どもは、歩くこと自体を挑戦的で楽しい遊びととらえ、その行為を繰り返すことで能力を獲得します。想像力が伸びる時期にはごっこ遊びを繰り返します。こうした乳幼児期の自発的な遊びは学習であり、自分の身体を動かし、繰り返すことで、環境の性質を理解し、環境に合わせて自分を調整する能力を獲得していくのです。そのため保育者は、より良い環境を準備する必要があります。また、環境の中にどのような教育的な意図を埋め込むかを考え、子どもたちの創造性を引き出すことができる環境を用意することも大切です。子どもの心は、人との関わりだけでなく、色や形、材質や音といった、周りを取り巻くすべてが取り込まれて形づくられ、育まれていきます。ですから、想像の余地の少ない完成されたおもちゃを与えるより、土や水、お手玉や積み木など、自分で遊びをつくり出すことができるようなシンプルな素材を選ぶことで、子どもたちは驚くほど長い時間集中し、話し合い、粘り強く考え、あきらめずに何度もやり直し、工夫して、大人が想像できないような作品を生み出します。そして、そうした中から、協同的・対話的な学びを得るのです。
子どもたちが今を幸せに生き、よりよい未来をつくることができるよう、その豊かな創造性を発揮できる保育環境を作っていきましょう。

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高山 静子教授福祉社会デザイン学部 子ども支援学科

  • 専門:保育学、保育教育学
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