紙と筆には『瞬時に書ける』という、実用的な道具の便利さ、面白さがあります。また、筆の使い方から生まれる、筆法の美しさという芸術的魅力もあります。これらの筆の魅力は、万年筆やボールペンにも通じるところがあるのです。筆記用具を用いなくても文字を表記することができる時代が来ましたが、今後も「紙に文字を書く」文化は続くのではないでしょうか。
書道は、まずお手本を真似て筆法を学び、そこに自分の表現を加えて完成させていきます。そして、息づかい、体の位置、筆の立て方や紙を変え、冷静になって瞬間瞬間を楽しみながら「刻々と変化する」思いを紙の中に表現することが醍醐味なのです。
本学の創立者井上円了は「諸学の基礎は哲学にあり」と唱え、学問を通して自分を磨き、ものの見方、考え方を広げ、自己実現を目指していくことを課題としてきました。書道もまた同様です。書道を学び、書道の醍醐味を味わいながら、書道の持つ多様な価値観と幅広い知識を修得し、豊かな表現力と物事の本質を捉える目を備えた書道の指導者になってほしいと思います。

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蓮見 行廣教授文学部 日本文学文化学科

  • 専門:書道、書論、書道史
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