塩(塩化ナトリウム)は人間の体にとって大切なものだと言われていますが、血圧が高くなると塩が悪影響だと言われ、脱水症を避けるためにはたくさんとりなさいと言われます。どちらが正しいのでしょうか。塩の摂取量によって、汗に排出されるミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム)の量を測ったグラフによれば、塩の摂取量が少ないほうが、汗に含まれるナトリウムの量が少ないことがわかりました。体が、体内の塩分が少ないと判断し、塩分が体外に出ていかないようにしているためです。ところがカルシウムとマグネシウムについては逆で、塩分量が不足すると多く排出されます。塩分量が不足した時、体はナトリウムを補おうと、骨の中に貯えられたミネラルを使います。この時、カルシウムとマグネシウムも一緒に溶け出しますが、使われないまま汗となって排出されてしまうためです。また、ナトリウムは、下痢をすると水分と一緒に排出されてしまうため、ただ水分を摂取するだけでなく、塩分も一緒にとることが大切であることがわかります。別の実験結果によると、日本人の塩の平均摂取量は12gほどですが、それを6gにまで塩分を制限すると、糞便中の水分量が減って便秘になってしまいました。このように、汗に出てくるナトリウム量も、糞便中の水分に含まれるナトリウムの量も、摂取する塩分量に依存していることがわかりました。塩のとりすぎは良くないと言われますが、不足することもよくないのです。普段から適度に摂取するのが一番良いということがわかります。

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西牟田 守教授食環境科学部 健康栄養学科

  • 専門:医学、運動生理学、栄養生理学、疲労生理学、人体栄養学、予防医学
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