世界120カ国に34,000店舗を展開しているマクドナルドがインドに1号店を出したのは1996年のことです。インド人の多くは、牛肉や豚肉を食べないヒンズー教徒とイスラム教徒です。またベジタリアンも多いため、商品開発はもちろん、調理場や調理人を、肉を扱う・扱わないで明確に分けるなどし、その国の実情に合うよう工夫しました。これは、「マーケティングミックス4P」の要素のProduct(商品)についての戦略です。Price(価格)についても、技術指導や品種改良を重ね、100%現地調達と低価格化で世界共通化を実現しました。ほかにも、Place(流通)では、自転車でのデリバリーサービス、Promotion(広告宣伝)では、家族団らんの場としてのアピールに力を入れるなど、それぞれに工夫をしています。
では、ここまでしてインドの市場でビジネスを展開するのはなぜでしょう。インドの人口は12.5億人と世界第二位で、その平均年齢も20代と若く、今後も人口増、収入増、都市化が予測されています。特に、顧客ターゲットである「都市部に住む中間所得者層」の大幅な人口増が見込まれることが大きな魅力です。さらに、消費における満足度を市場調査し統計学で分析した結果、満足・不満足について、「まあまあ」と答えた人々の多くが、それでも「また来店してもよい」と判断していることが大きな決め手となっているのです。こうした統計学は、無味乾燥な数学ではなく、こうして市場調査に生かされていることを学びましょう。

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長島 直樹准教授経営学部 マーケティング学科

  • 専門:サービスマーケティング、消費者行動・消費経済論
  • 掲載内容は、取材当時のものです