21世紀に入り、国際経営の領域において、「メタナショナル経営」が注目されています。かつての、自国の優位性を中心とした経営論から、それを超えてグローバルな優位性を確立しようという理論です。ナレッジ(企業の知識やノウハウ)の流れを、本国本社から海外子会社・ローカルへといった一方通行にせず、多方向的な流れに変えることで、局面に応じて柔軟に迅速にサービスやシステムの提供が構築されるようになるのです。例えば、アジアトップの化粧品メーカーである資生堂は世界では4位でしたが、売り上げの弱かった香水について、ヨーロッパに子会社を作り、経営や技術部門にフランス人を、宣伝広告にアメリカ人をと、分野ごとに優秀な人材をおいてブランドを作り上げ大成功を修めました。そうしたメタナショナル経営で台頭した「新興国の多国籍企業」についても、注目が集まっています。中国のパソコンメーカーだったレノボは、本社を香港とアメリカに置き、シリコンバレーをはじめ、世界に9か所の開発拠点を構えることにより、最新のナレッジをいち早く吸収しました。また、自社にない資源は、IBMやNECとのM&Aや戦略提携によって次々に得て、いまや160以上の国に製品とサービスを提供する総合ITベンダーへと成長したのです。
こうした新興国多国籍企業の台頭は、今までの国際競争秩序を大きく変化させることが予想され、さらなる研究がなされるでしょう。

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劉 永鴿教授経営学部 経営学科

  • 専門:国際経営、企業統治の国際比較
  • 掲載内容は、取材当時のものです