「おいしいさ」は環境や体調によって感じ方が変わります。器や場所が違うだけで、おいしく感じたりまずく感じたりするのです。また、味は計測器で測ることができても、おいしさを測ることはできないので、人の五感を用いて評価します。これを「官能評価」といいます。官能評価の1つに「AHP(階層分析法)」があります。人は、複数のものを比較するとき、その「比」を直感的に感じています。そこで、評価にスコアを与え、その比率を算出し、分析するのです。複数のものを合理的に比較し、物の品質を容易に情報化できるとして発展した手法です。
この方法を「食」に応用してみましょう。おいしい味噌汁を作るための、味噌やだしの種類や量の組み合わせを調べます。赤味噌と白味噌がそれぞれ多め・少なめで、だしをにぼしと昆布としたとき、組み合わせは8通りありますが、「実験計画法」を用いて、赤味噌多めでにぼしの場合と赤味噌少なめで昆布の場合、白味噌も同様とする4通りの組み合わせだけ用意し、試飲をしてAHPでおいしさのスコアを算出します。それぞれのスコアの合計を比較し、最適条件を見つけるのです。だしで比較する場合、同じだしの2パターンのスコアの合計を比較すれば、評価の高い方がひと目でわかります。
AHPや実験計画法は汎用技術であり、品質情報学の対象は食だけでなく無限にあります。ぜひ実践してみてください。

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上條 賢一教授食環境科学部 食環境科学科 品質情報管理学研究室

  • 専門:食品品質管理学、食文化情報学、複雑系情報学、地球環境モニタリング
  • 掲載内容は、取材当時のものです