「あなたが3歳の子どもを持つ親だとしたら、A(自由、のびのび、遊び、体験・活動を重視)とB(勉強、お稽古、集団活動、ルール重視)のどちらの幼稚園に入れますか?」
この問いに対し、学生たちはそれぞれの意見を述べました。Aは「経験主義」、Bは「本質主義」といい、教育方法にはこの二項対立という構図があります。
日本の教育は、戦後まもなくは経験主義、高度経済成長期は本質主義で行われました。その後、詰込み型教育が非行やいじめの原因なのではないかという反省のもと、ゆとり教育が行われるようになりました。その結果、2000年代に子どもの学力低下が問題となったため、現在は、経験主義と本質主義の中間の地点に立った教育が、文部科学省の教育方針となっています。
では、経験主義と本質主義のどちらが効果的な教育方法なのでしょうか。これは教育の永遠の課題であり、その回答は、今ここにはありません。みなさんには、「大学での学び」のなかで、画一的なものの見方・考え方ではなく、複眼的かつ別の角度からも、見たり考えたりする力を身に付け、その答えを自分で見つけ出していってもらいたいです。

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下田 好行教授文学部 教育学科

  • 専門:教育方法学、学習指導論、教材開発論、教師教育
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