NPO法人や企業の社会福祉活動にかかわる3つの事例から、社会福祉の新たな広がりについて考えましょう。1つ目は「要町あさやけ子ども食堂」です。地域の子どもや大人が気軽に食事をとることができる子ども食堂は、ネットワーク化され、事業化のノウハウや情報を発信することで、急速な広がりを見せています。2つ目は宮城県仙台市の「六丁目農園」という、ほとんどの従業員が障がい者の人気ビュッフェレストランです。企業として儲けがあり、かつ障がい者が納税者になれるこの経営ノウハウを、全国に伝え、ビジネスモデルを作っていく取り組みです。そして3つ目は岩手県盛岡市の「フキデチョウ文庫」です。ここはいわゆるデイサービスセンターですが、施設の1階は地域の子どもたちが集う場所となっています。すでに存在する社会福祉事業に新たな事業を付加し、地域に広げていく活動です。
2016年、社会福祉法の改正が可決され、社会福祉法人に対して地域に対する貢献活動が義務付けられました。国や地方公共団体の政策を社会福祉と呼ぶ時代はもう終わったのかもしれません。みなさんには、常に今現在の社会を考えながら、社会福祉を学んでいってほしいと思います。

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早坂 聡久教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:福祉経営、高齢者福祉、居住福祉
  • 掲載内容は、取材当時のものです