世界中にある、過疎地や被災地に医療を届ける仕組みを参考に、これからの建築について考えましょう。日本には診療船や診療車がありますが、インドには、寝台列車を改造して病院にし、各地に医療を届ける病院列車があります。医療スタッフはすべてボランティアで、大勢集まる患者さんを問診して振り分ける場所や、術後の入院は地元の施設を借ります。電気や水も現地調達しています。
こうしたモバイル・ホスピタルは、状況に応じた活用が可能です。例えばイギリスの歴史ある病院は、建物が古く、最新医療機器を設置することができないため、モバイルMRIユニットを車で運び、病院の外に設置しています。日本でも東日本大震災の際、建物が被災した病院にMRIユニットを横付けし、機能を維持したところがありました。このように、建物があっても使えないようなとき、モバイル・ホスピタルは、足りない機能を補うという意味で、非常に有効な解決の手段になると考えられます。建築と大きく異なるシステムではありますが、建物がなくても、あるいは建物と動くものを組み合わせることで、もっと豊かなサービスに繋がるのではないでしょうか。

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岡本 和彦准教授理工学部 建築学科 医療福祉施設研究室

  • 専門:建築計画、建築設計、医療施設の企画と設計、Evidence-Based Design、モバイル・ホスピタル
  • 掲載内容は、取材当時のものです