高齢者の中で介護が必要な人は、2025年には800万人を大きく越えるといわれている日本。そのため、介護が必要な高齢者を支援する制度が2000年代から増加し、整備が急速に進んでいます。「一人暮らしをしていた82歳のAさんが、脳梗塞で入院。杖や手すりを使えば一人で歩行できるが、退院後もこれまで通りの生活を送れるのか不安に思っている」というケースで考えてみます。Aさんが家に帰ったら生じる課題(ニーズ)をあらかじめ予測して見つけ出し、目標を定め、そのために必要な支援方法や利用サービスを決めます。これが「ケアプラン」です。医療や介護だけではない、生活に必要なさまざまな支援策と、それを必要とする人をつなぐ役割や枠組みを「ケアマネジメント」と言います。ケアマネジメントによって、個人の支援はもちろん、支援者同士のネットワーク、社会制度の拡充・改善にもつながります。
また、ケアマネジメントを行う人を「ケアマネジャー」といいます。わが国では、高齢者介護分野では「介護支援専門員」、障害者分野では「相談支援専門員」として制度化され、子育て支援や生活困窮者への支援策としても注目されています。本学科で幅広く知識を身に付け、実践を積み、ケアマネジャーへの道を目指して欲しいと思います。

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高野 龍昭教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:高齢者のケアマネジメントにおける援助方法と高齢者介護の制度・政策のシステム
  • 掲載内容は、取材当時のものです