魅力的な中心市街地とはどういった街のことでしょう。交通が整い、仕事、学校、買い物などの用事がさっと済む「便利な街」は、人がたくさんいても長く過ごすこともなく、にぎわっているとは言えません。必需的な活動を効率的に行える便利さだけでなく、任意的な活動を促し、さまざまな目的を持った人たちが集まって時を過ごす、楽しくて人間的な、にぎわいのある街は魅力的な街だと言えます。こうしたまちづくりには、交通空間の計画が重要です。例えば駅前広場の整備によって、鉄道と、バスやタクシーなどを結び、効率的な交通処理を図るだけでなく、人がとどまって時を過ごし、にぎわいが生まれます。また、道路の歩行者空間整備によって、車と人がお互いを思いやり、上質なデザインの歩行者専用モールなどといった新たな価値を見い出す「価値創出型まちづくり」が求められています。
渋滞緩和などの「問題」は共有しやすくても、どんなまちづくりをしたいのか、創造すべき「価値」の共有は簡単ではありません。みなさんには、ぜひ自分のビジョンを語り、その実現をしていってほしいと思います。

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岡村 敏之教授国際学部 国際地域学科

  • 専門:土木工学/土木計画学・交通工学、土木工学/土木環境システム
  • 掲載内容は、取材当時のものです