教科書に沿って、先生が授業で教えたからといって、必ずしも子供たちに正しく定着しない、ということがあります。ある全国学力調査では、一つの問題で、多くの生徒が同じ間違いをしたという結果が出ました。一人だけが間違えるのではなく、クラスの半数以上が間違えるなら、何かしら原因があるはずです。この授業では、なぜ定着しないのかという理由と、定着させるにはどのような授業をすればいいのかを、学生たちにグループになって話し合ってもらいました。その結果、生徒たちの立場に立った授業をする、ストーリー性を持って説明するなどの意見が出されました。
教科という学習内容と直接密接に関わる、幅広い教科教育学研究のなかで、「教師が教えたようには学ばないことがある」ことを知り、「子供たちが共通して誤った理解をするのはどんなところか」「それはなぜなのか」「では、どんな指導が必要か」について研究するのも一つの領域です。そしてそれこそが、教科教育学研究のおもしろさでもあるのです。

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栗原 久教授文学部 教育学科

  • 専門:社会科教育学、公民教育、経済教育
  • 掲載内容は、取材当時のものです