プロ野球では、選手にとって契約内容が複雑で難解なうえに、契約における交渉力が弱いため、球団と選手では球団のほうが立場が強いという力関係があります。そこで選手は、代理人やエージェントといった専門家に、自分の代わりに契約の交渉をしてもらいます。また、選手同士が集まって力を合わせる、つまり労働組合を作るという手段もあります。球団経営に関わる法律は多数あり、チケット販売やテレビの放映、人気選手のグッズ販売なども、契約が行われます。このように、「契約」という法制度は、スポーツの世界には極めて深く関係しています。
日本のスポーツビジネスはまだ未開拓で、今後ビッグビジネスに発展すると言われています。そして、そのビジネスを支える仕組みとして「契約」があります。現在はスポーツに対する深い理解を前提として、法的な知識と法的思考力を併せ持つ人材がスポーツに関するあらゆる分野で強く求められています。法律を学ぶみなさんの中からも、スポーツビジネスの発展に貢献していくことのできる人が生まれることを期待します。
清水 宏教授法学部 法律学科
- 専門:民事訴訟、民事紛争処理、スポーツ法学
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