現代社会は、化石資源(石炭・石油)の大量消費によって二酸化炭素が増加し、地球温暖化が進み、異常気象や生態系の変化によるさまざまな問題を抱えています。また、資源・エネルギー源の枯渇が進み、これらに代わる新しい資源の開発が必要です。もし、二酸化炭素を資源化して活用できれば、これらの問題を同時に解決することが可能になります。そこで二酸化炭素を、人工的な光合成による新しい化学反応で化学原料や工業原料にし、有効利用する研究が進められています。しかし、化学的な光合成のサイクルは、自然の光合成よりもまだ不完全なのが現状です。
地球が誕生し、36億年前に最初の生物ができてから、天然の光合成サイクルを作るまでには19億年かかっています。ところが、化学の始まりであるラボアジェの質量保存の法則ができたのは1772年とたった200年前です。人工光合成は天然光合成に比べて時間的にも内容的にも未熟ですが、温暖化のことを考えると大至急取り組まなければならない問題なのです。

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石井 茂教授理工学部 応用化学科 高分子材料研究室

  • 専門:有機合成、生体高分子、機械性高分子合成

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