かつて子どもたちは、自発的に年齢の異なる集団を形成し、主体的に遊びを展開していました。年少者は遊び技能に長けている年長者の「遊びモデル」に魅了され、見て真似る・学ぶことで主体的に遊びを学習しました。これを「観察学習」といいます。そして年少者がうまくできなかった場合、年長者は年少者に遊びを教えるという「機会教授」の役割を果たしていました。さらに大人の気配を感じられる場所で遊ぶことで、「大人の直接的な関与」がなくても子供同士で安心して遊ぶことができました。
しかし、現代の忙しい子どもたちは、集団で遊ぶ機会も、安全に安心して遊べる場も減り、遊びのほとんどは同年齢の集団で行われています。そのため、大人が子どもたちの観察学習の対象になるようなモデルになること、大人が直接関与しなくても見守る存在になること、そしてタイミングを計って援助し、機会教授になることが求められます。このような大人と子どもの関係が形成されるためには、まず大人と子どもが互いに「見る・見られる関係」を築いていくことが大切といえるでしょう。

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高橋 健介准教授福祉社会デザイン学部 子ども支援学科

  • 専門:幼児教育学、保育学

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