タンパク質は、筋肉や骨、臓器など、人間の体を構成するために必要な栄養素です。私たちの体は、タンパク質がアミノ酸にまで分解されないと消化吸収できませんが、その途中段階まで分解した「ペプチド」の状態で摂取するとさらに吸収率が高まります。
このペプチドをアスリート用のプロテインや高齢者向けの栄養補助食品に活用することが、注目されています。消化吸収性の高さや低アレルゲンという特性を活かして、さまざまな食品への応用が期待されているのです。その一方で、食品開発が思うように進まない背景には、ペプチドを分解するときに生じる「苦味」の問題があります。

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そこで食品機能研究室では、苦味を酵素処理によって低減する研究に取り組んでいます。苦味の原因は、タンパク質の中に埋もれていた疎水性アミノ酸が外に出てきてしまうためだと考えられます。タンパク質を分解する酵素の種類はさまざまですが、その中には疎水性アミノ酸を切り出す働きを持った酵素もあり、それを使って苦味ペプチドを処理すると苦味が低減できることが分かってきました。おいしくて体に良い食品の開発が求められるなか、苦味のないペプチドは、新しい食品素材の一つとして関心を集めています。
食環境科学は学問分野において、まだ解明されていない事柄が多く、それだけに研究のやりがいもあり、大きな期待も寄せられています。食品には私たちの体に良い成分が含まれていますが、薬のようにすぐに結果が出るわけではなく、長期にわたって摂取することで効果が現れます。そのため、それぞれの食品の特性を理解し、食への好奇心と探究心を持ち続けながら粘り強く答えを見つけ出していくことが大切なのです。

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林 清教授食環境科学部 食環境科学科 食品機能研究室

  • 専門:食品科学
  • 掲載内容は、取材当時のものです