留学生と日本人の学生たちが英語を介して交流を深めるECZ(English Community Zone)で働く、経済学部経済学科4年のサトウ・パガノッティ・フェリペさん。ブラジル生まれ、日本育ちのフェリペさんは、多国籍のスタッフをまとめるリーダーとして精力的に活動をしています。卒業後は大学院進学と海外留学を目指し、「ECZで培った英語力とコミュニケーション力を、国際的な場で生かしていきたい」と話します。

英語力向上を目指し、ECZに挑戦

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生まれはブラジルですが、小学校から高等学校まで日本の公立学校に通っていたので、母国語のポルトガル語と日本語を話すことができます。入学前は、バイリンガルを生かして、日本企業で通訳として2年ほど働き、ブラジルへ出張して仕事をすることもありました。

東洋大学で学ぶことを決めたのは、仕事と勉強を両立でき、埼玉県にある自宅からも通うことのできる距離でもあったからです。現在は第2部・イブニングコース(夜)の学生として、アルバイトをしながら大学に通い、ECZのスタッフとしても働いています。ECZで働き始めるまでは、高校時代を通しても英語を使う機会はほとんどありませんでした。実は、最初はECZに行くことに抵抗があったんです。私は外見から「英語ができそうだ」と思われがちなのですが、見た目通りには英語が話せません。英語で話しかけられたとしても、英語でコミュニケーションが取れる自信がなく、ECZの雰囲気に溶け込みづらいように感じていました。

私は在学中に留学をしたいと考えていたのですが、3年の秋学期に英語が得意なブラジル人の友人が留学に行き、その一方で自分はGPAが基準に届かずに奨学金を取得できず、留学に行けないという、とても悔しい思いをしました。そこで、何とか英語を克服したいとの思いで、そのためには英語を使う環境に自分の身を置こうと、ECZのスタッフに応募しました。

スタッフをまとめるリーダーとしての役割

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私は英語力を上げるために、よく海外ドラマを見ますが、登場人物が使う言い回しを参考にしています。ECZで働き始めたときは、使えそうなフレーズを会話のなかで実際使ってみるなどしてきました。すると、英語のできる友達が「その言い方は今はもうしないから、こう言ったほうがいいよ」と教えてくれるので、新しい表現にアップデートできるんです。

スタッフの仕事は、働き始める前にも言われて今まさに実感していますが、「パーティーのホスト」です。ECZに来た人たちが居心地よく、気軽に英語を話せるような雰囲気づくりを第一に考えています。季節のイベントを企画したり、ゲームをしたりして、みんなが英語で楽しく触れ合える場を提供しています。また、期待に胸を膨らませて日本へ来た留学生も、1カ月も経つとホームシックになったり、不安なことも多くなったりします。そんな時は、リーダーとして話を聞いてあげたり、日本人の学生も誘ってご飯に行ったり、相談役のような役割も担っています。ほかには、シフトづくりやスタッフ側のサポートをメインにしています。

ECZでは現在、日本人のほかに9カ国ほどの留学生が、スタッフとして働いています。みんな価値観も意見の主張の仕方も違うので、最初のミーティングは、意見をまとめるのが大変でした。自分もリーダーとして、どうしたら英語を母語とする留学生と引けを取らずに引っ張っていけるかを考えてきましたが、今では統率力もかなり鍛えられたと思っています。そして、スタッフ同士のコミュニケーションを通じて、英語力についても、授業で学ぶような英語だけでなく、ミーティングや、時には議論を交えるような英語など、日常生活で使える英語を学べたのは大きいと思います。今、企業も多国籍化が進んでいますが、ECZでそのような雰囲気を味わえたことは、自分にとってもよい経験でした。

恵まれた環境で、充実の大学生活

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私には東洋大学以外の大学にも友達がいますが、ほかの大学にはECZのような場所がないようで、うらやましがられます。無料で留学生と英語で話すことができ、友達が作れる場があるのは、恵まれた環境ですよね。高校生の頃は、授業で英語を話す機会があっても、みんな恥ずかしがって、結局日本語で話してしまうことが多く、英語を話す機会はほとんどありませんでした。しかしECZでは、日本語使用が禁止されていて、もし話したら、スタッフに注意されるので、英語を話さざるを得ない環境です。最初は恥ずかしさもあると思いますが、ECZの扉をくぐり、まずはスタッフに声をかけてもらえれば、留学生や日本人学生を紹介したり、ゲームに誘ったりすることもできます。ECZは「英語を話す」というルール1つだけで、ほかに意識することは特にありません。ぜひ、友達づくりの場として、もっと多くの人に利用してもらいたいですね。

私のようにスタッフになりたい人には、英語力というより、コミュニケーション能力が問われる仕事なので、できるだけ多くの人と話をして、話をきちんと聞くことができれば誰でも挑戦できる仕事だと思います。私は採用面接の際に「相手の話を聞くタイミングと、自分が話すタイミングが良かった」と言ってもらいました。ただ自分が一方的に話すだけではなく、相手の話に耳を傾け、バランスよく話ができることが大切だと思います。

卒業後は大学院に進学したいと考えています。自分の卒業論文のテーマでもあり、日本でも現在話題になっている「移民の受け入れによる社会的問題と経済的影響」などについてさらに研究するため、ヨーロッパへの留学を希望しています。大学時代に実現できなかった留学を目指し、専門分野である経済の知識とECZで身につけた英語力とコミュニケーション能力を生かして、将来は国際的な場で働きたいと考えています。

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サトウ・パガノッティ・フェリペさん経済学部 経済学科 4年

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