日本人の母を持ち、幼いころから日本に憧れていた社会学部社会心理学科のSHUM LI HUI RIHO(シャム リー フェイ リホ:通称リホ)さん。多民族国家のシンガポールに生まれ育ち、差別や民族による価値観の違いに興味を持っていたことから、社会心理学を学ぶために日本にやってきました。そしてもう一つ、リホさんの目的は、日本で軽音楽サークルに入って活動すること。音楽活動を通じてたくさんの友達ができたことや、ずっと憧れていた日本の音楽に存分に浸れる毎日にとても満足しているそうです。
社会心理学を学べる大学を探してたどりついた
シンガポールでは日本の高等学校にあたる高等専門学校で、保育士を目指して幼児教育を学んでいました。しかし学び始めてから、保育士の仕事は自分には合わないと気づき、方向転換。以前から興味のあった日本で学びたいと考えるようになりました。
私の母は日本人なので、幼いころから母とは日本語で会話をし、日本の音楽や番組を見て育ってきました。何回か日本を訪れたこともあり、日本は自分の第2の故郷のように感じていたのです。住み慣れた故郷を離れることに不安はありましたが、自分の視野を広げるためにも、留学はいい機会だと思いました。
幼児教育を学んでいるときに興味を持った、心理学を日本で学びたいと思い、インターネットで調べているうちに、東洋大学にたどりつきました。東洋大学には、心理学の中でも特に私が興味を持っていた、社会心理学のコースがありました。私が生まれ育ったシンガポールという国は多民族国家なので、文化の違いや差別などもあります。そうしたことがなぜ起こるのか、社会心理学の側面から理解したいと思ったのです。
また、東洋大学には、奨学金制度など留学生をサポートする制度がたくさんあることもいいと思いました。私は母子家庭で育っているので、給付型の奨学金は特にありがたかったですね。
調査や分析のスキル、多様なものの見方が身についた
選択必修科目では、集団心理や差別などについて学びました。日本人とアメリカ人の文化の違いは対照的で面白かったです。日本人が育ってきた環境について学び、日本人がなぜ“周囲の目”を気にするのか、“空気を読むこと”に気を配るのかが理解できました。
ゼミでは、認知心理学、なかでもセルフコントロールの心理学について主に学んでいます。たとえば、ある目標を達成するために、どのようなことがモチベーションになりうるか、障害や困難にぶつかったときにどうやって克服するかなどを、過去の論文を読んで調べたり、実験をして論文が本当に正しいかを検証したりしています。
これらの学びを通して、社会の中で“当たり前”とされていることについて疑いを持ったり、物事をさまざまな視点から見て考えたりすることができるようになりました。また、統計学や社会調査の手法、分析力も身についたと思います。
心理学の勉強のほかに打ち込んでいるのが、サークル活動です。実は、シンガポールにいるときから日本の音楽が好きで、大学に入ったら絶対に軽音楽サークルに入ると決めていたんです。音楽活動を通じていろいろな人に出会えるのがいいですね。年2、3回、学内で大きなライブがあるので、本番に向けて毎日練習しています。
大学で学んだスキルと語学力を武器に、適職を探したい
東洋大学では、多様な価値観を持つ人と出会う機会がたくさんあるので、自分の考えだけにとらわれず、他人の意見や価値観を尊重することを学びました。これらは、将来どのような仕事に就いても活かせると思います。
私は今、3年生ですが、将来の就職も考えて、いくつかの企業でインターンを経験したいと考えています。東洋大学は、就職支援がとても充実していて、自己PRや志望動機の書き方だけでなく、スーツの着こなしやメークの仕方に関する講座もあるので、ともて心強いです。
シンガポールで働くことも考えていますが、シンガポールは新卒採用という文化がなく、実績や経験重視。帰国するとしても、日本で何年か実績を積んでからですね。2020年に東京オリンピックがあるので、それを間近で見みたいという気持ちもあります。
日本語、英語、中国語が使えること、そして、東洋大学で学んだリサーチや分析スキルを強みとして、自分に適した仕事を探したいと思います。仕事を通じて人々を笑顔にできたら、それが一番幸せですね。
留学には、母国では絶対経験できない学びがある
留学とは、心地よかった空間から飛び出し、新しいことに挑戦すること。勇気のいることですが、だからこそ、人として大きく成長できると思います。
新しい土地、新しい言語、新しい文化、わからないことや不安になることもたくさんあります。でも、そこでしか得られない経験、かけがえのない友達、なにより自分の視野を広げること、母国では経験できないことを経験できます。それら全てがプラスとなって自分に返ってくるので、ぜひこの機会を逃さないでください。人生は一度きりです。留学を考えているみなさんのことを応援しています!
私の好きな日本の言葉
君はそれで素晴らしい
私の好きな日本のバンド「ナイトdeライト」が歌っている曲の歌詞の中の言葉です。物事を否定的に考えたり、他人と自分を比較して自分はダメだと落ち込んだりしたときは、この曲、そしてこの言葉に救われますね。
SHUM LI HUI RIHO(シャム リーフェイ リホ)さん社会学部 社会心理学科 3年
- 所属研究室:尾崎由佳ゼミナール
- 出身国・地域:シンガポール
- ※掲載内容は、取材当時のものです