今春から大手航空会社で客室乗務員として働くことになった、文学部英語コミュニケーション学科(現・文学部国際文化コミュニケーション学科)4年の三枝香帆さん。数々の努力が実を結び、Toyo Global Leader(TGL)プログラムのGOLDに認定されました。「人の大切さに気づかせてくれた」という交換留学先のオーストラリアでは、人間的にも成長し、将来の方向性を見つけることができたと言います。今後は海外体験を糧に、人とのつながりを大切に、そして世界へとつなげる仕事がしたいと、期待に胸をふくらませています。

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初海外で、留学への思いが高まる

もともと英語が好きだったので、大学を選ぶにあたっては、英語を重視しました。実は、幼い頃から「外国人になりたい」という夢があったのです。それは、外国人のような考え方や文化、習慣などを自分に吸収し、それを自分が発信することで、日本人にも良い影響を与えたいという思いからくるものでした。そのため、大学入学時から交換留学を目指して努力してきました。留学するためにはまず、TOEFLのスコアをクリアすることが必要でしたが、私は座学があまり得意でないので、1年次の秋学期から2年次の春学期にかけて、SCAT(現・LEAP)の授業を週4日受講して集中的に勉強したほか、PodcastでBBCなどの海外の放送を聞くなどして、とにかく毎日、英語に触れるようにしていました。授業や英語学習に加え、サークルやアルバイトもしていたので、寝ずの日々も多かったのですが、「留学」という明確な目標があったので、苦しくても乗り越えることができました。交換留学の選考に通ったときは、喜びというよりも、1つの目標をクリアでき、次へのステップに向けて頑張ろうという気持ちの方が大きかったです。

私は大学生になるまで、海外経験が全くありませんでした。そこで長期留学をする前に、大学2年次の夏、東洋大学とGiFTが主催する9日間の短期海外研修プログラム「Diveristy Voyage」のラオスコースに参加しました。これは、日本人学生12人とラオスの学生10人のメンバーで、持続可能な開発目標SDGsに関わるテーマについて、チームで提案を創り上げていくというプログラムでした。そのなかではラオス人学生の熱心さに驚きました。彼らは宗教や歴史など、自国のことをとてもよく分かっていましたが、その一方で、私は日本のことを答えることができず、恥ずかしい思いをしました。短い滞在期間ではありましたが、ラオスに行ったことで、世界と日本に対する興味がとても広がり、充実した9日間でした。帰国後は、交換留学をするにあたって、今、自分の国で何が起きているのかを知ろうと、日々のニュースにも関心を持つように心掛けて過ごしました。

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交換留学で見えた将来の夢

そしていよいよ、オーストラリアへの交換留学の時を迎えました。自然に囲まれて学びたいと選んだオーストラリアは、気候も良く、日本とも時差が少ないため、留学先としては最適な場所でした。大学では分野にとらわれず幅広く学びたいと思い、Liberal Arts(一般教養)を専攻し、学部学科に関係なく興味のある科目を履修しました。コミュニケーション学やオーストラリアの環境をはじめ、サーフィンの授業など、オーストラリアならではの科目もありました。

オーストラリアに滞在しているなかで気づいたのは、留学前の私は大学の授業やサークル、アルバイトなどで時間に追われ、周りが見えていなかったということでした。オーストラリアで過ごすゆったりとした時間のなかで、私は物事に対して、柔軟かつ多角的な考え方ができるようになりました。そして、多くの人と助け合いながら、自分の身の周りにいる人たちの大切さを実感しました。人種が違っても、年齢が違っても、みんな同等の立場でいてくれる。留学で得たこの体験は就職活動をしていく上での大きな軸となりました。

私は、オーストリアで人とのつながりの大切さを実感し、「接客」という仕事で社会に貢献できたらと考えるようになりました。それは「人と人とをつなぎ、人の未来や社会をつなげていきたい」という思いです。内定をいただいた航空会社の入社説明会に初めて参加した時には、性別や人種に関係なく多様性を受け入れて、個人をとても大切にしているところにとても共感し、「私も客室乗務員となり、この会社で社会貢献をしたい」と志望しました。客室乗務員として最前線にいる自分が、後方で支えている社員のみなさんの思いを届けるんだという、責任の重さをも実感します。空という助けも呼べない空間で、限られた時間、限られた空間で仕事をすることにとてもやりがいを感じたのです。

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GOLD取得を目指して

留学を終えて帰国すると、TGLプログラムが開設されていました。私はすでに1、2年次の授業でその認定要件を満たしており、あと一歩でSILVERに認定されるところまで達していたので、まずはSILVER認定を目指してTGLキャンプに参加しました。TGLキャンプでは、学年も学部も異なる人たちとグループを組み、世界が抱える課題とその解決策について話し合い、発表しました。私のグループは、紛争についてディスカッションしたのですが、自分より学年が下の人たちも熱心に取り組んでいて、いろいろな価値観をもつ人たちの意見を聞くことができ、刺激を受けました。その後も、さらに上を目指したいと、再びキャンプに参加し、卒業論文を英語で書いて要件を満たし、大学卒業を前にして、念願のGOLDを手にすることができました。こうして自分が努力してきたことが形となったことを、うれしく思っています。

私が入学した頃と比べると現在では、東洋大学にはTGLプログラムをはじめ、さまざまな講座が増え、海外経験を積むための環境が充実しています。ですから、後輩のみなさんには、自分がしたいと思ったことは、自分の力量でできないとあきらめず、意思を貫いて挑戦していってほしいと思います。私は今春から社会人として働くことになりますが、会社の選択もすべて、大学生活での経験が導いてくれたことだと感じています。何事にもチャレンジし、がむしゃらに頑張ること。すると、道は必ず開けるのです。

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三枝 香帆さん文学部 英語コミュニケーション学科(現・文学部 国際文化コミュニケーション学科)4年

  • TGLプログラムGOLD認定
  • 掲載内容は、取材当時のものです