もともとは特に興味がなかった教師を目指すきっかけになったのは、何人もの学校の先生から「先生に向いているよ」と言われたからだという、文学部日本文学文化学科の寺脇真耶さん。大学では古典、なかでも和歌に夢中になり、学ぶ喜びを実感する日々。教師という目標に向かって進みつつ、好きな分野の学問をとことん学べることが、楽しくてたまらないそうです。

「先生に向いているよ」と、いつの時代も言われた

小学校、中学校、高校と、先生方から「学校の先生に向いているよ」と言われていました。学級委員や生徒会、部活動の部長などの経験が多かったので、周囲からしっかり者と見られていたせいかもしれません。はじめは特に気にしていなかったのですが、何度も、いつの時代も同じことを先生方から言われるうちに、次第に教師を職業として意識するようになりました。そして、私が一番好きな科目である国語の先生になりたいと、自然と気持ちが固まっていったのです。

進路を決める際、国語が専門の担任の先生が、東洋大学の教職のカリキュラムについて教えてくれました。そして教員試験対策のフォロー体制などがしっかりしていることを知り、東洋大学への進学を決めました。学科については、幼い頃から好きだった文学について深く専門的に学びたかったので、日本文学文化学科を選びました。

入学してそう時間が経たないうちに、大学は高校と違って好きな分野の学問を好きなだけ探究していける場所なのだと実感しました。学科では1年生からゼミを選べるので、まずは近現代の都市文学を専攻しました。これは都市が出てくる文学について、なぜその都市を選んだかなど、その町の時代背景などと共に考察するというゼミです。私のグループは江戸川乱歩をテーマに勉強したのですが、大学ならではの切り口で文学を学べることは、とても刺激的でした。

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大学で和歌の魅力に引き込まれた

2年生になっても引き続き同じゼミで学んでもよかったのですが、「近現代を学んだから今度は古いものを勉強してみよう」と、古典のゼミを選びました。そうして万葉集を学び始めたところ、その世界に引き込まれ、あっという間に夢中になりました。植物を用いた色の名称の美しさ、「七夕」と書いて「たなばた」と読むようになった由来、誰かを思って揺れ動く心のさま。そういったさまざまなものがたった31文字の中に含まれている和歌を、一読しただけでは理解できなくても、丁寧に読み解いていくことで、どんどん深い意味が見えてきます。また、恋愛ネタについて詠まれた和歌などは、その気持ちが現代にも通じるもので、思わず共感を覚えます。「こういうことをすればあの人に会える」といったいじらしい願かけなど、1000年の時代を超えて心に響きます。

ゼミに入ったばかりの頃に比べて、今は上代の知識が多く身に付き、より深い解釈もできるようになりました。古典を通してその時代背景を知り、1000年以上前の人の気持ちが理解できる点に魅力を感じますし、古典という文学を通じて、日本の文化も学べています。

大学で学ぶことによって古典、とりわけ和歌が好きだということに気づくことができました。高校までは「国語が好き」という漠然とした思いで勉強してきましたが、絞り込んで深く学べる大学だからこそ、自分が追究していきたい分野が明確に見えたのです。

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学ぶ喜びと刺激をもらえる友人を大学で得た

将来は、国語が苦手な生徒にも「国語が楽しい」と、一度でも思ってもらえるような授業ができる教師になりたいと思っています。そのため、大学の授業では「自分が生徒だったらどのように説明されると理解しやすいだろう」と、常に考えながら受講しています。また、中学・高校の担任だった先生方には今も話を聞いていただいたり、大学の教職支援室にも話を聞きに行くなどして、目標に対するモチベーションを維持しています。

大学では教師という同じ夢を目指す友人に出会えました。とても意識の高い人なので話していると刺激を受けるし、私もさらに頑張ろうという気持ちにさせられます。将来の目標が同じということで相談もしやすく、その友人と話すことで、「目指す教師像」が明確に見えるようになりました。人との出会いは自分を成長させてくれると、大学生活で実感しています。

奨学金を受けていて、将来は自分で返済します。学びたいことを学ぶため、そして国語の先生になるために大学に進学したのですから、貪欲に勉強したいです。教職も履修しているので、1限から6限まで授業がびっしりの日もありますが、誰に強制されたわけでもなく私自身が選んだ道ですし、将来の目標に一歩ずつ向かっているので多少大変でも頑張れます。大学の4年間という時間をどう使うかは自分次第。後輩のみなさんには、「やりたいと思ったことは必ず実行する。知りたいと思ったことは必ず知って自分のものにする」という気持ちが、実りある大学生活へつながっていくことを伝えたいですね。

寺脇 真耶さん文学部 日本文学文化学科 2年

  • 所属ゼミナール:菊地義裕ゼミナール
  • 東京都立上野高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです