カリフォルニア州立大学モントレーベイ校は23校の大学によって構成されているカリフォルニア州立大学群に加盟する総合大学で、モントレー湾からほど近い場所にあります。近隣には山や湖もある自然豊かなこの地で、経営学部経営学科の成田遥亮さんと社会学部社会文化システム学科の堀友香理さんは留学生活を送りました。ディスカッションでの発言が苦手だという意識が誤りであったこと、日本人は文法がしっかり身についていることなど、ふたりは現地での学びを通じて、いくつもの発見をしました。

平日はひたすら勉強漬け、休日に息抜き

――お二人とも同時期にカリフォルニア州立大学モントレーベイ校へ留学されましたが、留学しようと思われたのはなぜですか?

成田:もともと英語が好きで、将来は通訳になりたいと思っていました。そこで英語力に磨きをかけるためにも留学したいとは思っていたのですが、その思いは漠然としたもので、具体的なアクションは起こしていませんでした。転機となったのは、友人が交換留学したことです。大学にそのような制度があることを初めて知り、一気に気持ちが動きました。

堀:私は英語科がある高校に通っていたので、当時から周囲がどんどん留学している環境でした。しかし高校時代は留学のタイミングを逸してしまったため、大学では2年生で留学しようとあらかじめ計画し、入学してすぐ準備を始め、1年生の夏にTOEICで810点取りました。カリフォルニア州立大学モントレーベイ校を選んだのは、この大学の「グローバルスタディーズ」という学部の授業を受けてみたかったからです。

成田:私は、約5,000名の学生数と東洋大学よりもこぢんまりした規模ゆえに、ディスカッション形式の授業が多いというところが気に入りました。自分が主体的に参加できる形式の授業を受講したいという希望があったので、この大学を選びました。西海岸のモントレーベイという場所も魅力的でした。

堀:実際、モントレーベイは素敵な町でしたね。海に近く、ビーチでのんびりしているだけでもリフレッシュできました。成田さんとは一緒にグランドキャニオンへのグループ旅行にも行きましたよね。

成田:あれは楽しかったですね。現地での生活に慣れてくると、休日を利用して各地を旅行するようになりました。一方、「こんなはずではなかった」と感じたのは、モントレーベイが思いのほか寒かったことです(笑)。カリフォルニアという響きから、もっと暖かい土地だと思っていたのです。実際は、モントレーベイは夏の最高気温でも22度と、朝晩は羽織るものが必須でした。堀さんも寒かったでしょう?

堀:ええ。想像していたより寒くて、現地でニットの服を買いました(笑)。それからもう1つ想像以上だったのは、勉強が大変だったことです。もちろん大変だろうということは覚悟していたのですが、その覚悟をはるかに上回る大変さでした。平日に遊んでいる暇など全くなかったですね。

――それほど学業が大変だったのですか。

堀:平日は7時起床、8時から10時まで授業を受けた後、正午までは図書館で自習です。昼食を挟んで2時まで授業を受け、そこから8時までは再び図書館で自習をしてから帰宅、0時に就寝という日々でした。とにかく勉強漬けです。

成田:私も似たようなスケジュールです。8時に起床し、9時から正午まで授業、午後は1時から6時まで再び授業です。その後、9時まで図書館で予習と復習をしてから帰宅するという毎日でした。基本的に勉強は大学でするようにして、自宅は休息する場所と、オンとオフの区別をつけていました。

堀:私も勉強は大学で済ませるようにしていました。自宅では、自炊を頑張りました。

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英語でのディスカッションで得た自信

――大学で印象深かった授業はありますか。

堀:前期の「ジャパニーズマインド」です。日本語学科のあるカリフォルニア州立大学モントレーベイ校には、当然ながら日本について知りたいという学生がいます。そういった学生とディスカッションするという授業でした。この授業でディスカッションを経験したことは、お互い大きな財産になりましたね。

成田:私もその授業を受講しましたが、「自分はディスカッションが苦手」という意識が誤りであることに気づけました。ディスカッションに参加できないのは不得手だからではなく、結局のところ英語がネックになっているだけで、自分の意見そのものは持っているわけです。ですから語学力がアップすればどんどん発信できるのだと思い至り、新しい世界が拓けた気分でした。堀さんもしっかり発言できていましたよね。

堀:はい。最初はどうしても気後れしがちだったのですが、勇気を出して発言したら、先生がその内容を褒めてくださって。それからは積極的に発言できるようになりました。

成田:あとは、自分が経営学科在籍ということもあり、後期に受講した「組織行動学」が非常に面白かったです。これは働く人々の行動や組織のあり方、リーダーシップなどについて学ぶ経営の授業で、内容が高度な上に受講している学生の意識も高く、大いに刺激を受けました。前期より英語力もアップしていたので、余計に授業の面白さを実感できたのだと思います。

堀:私の場合は、もともと受講したいと思っていた「グローバルスタディーズ」の学部の授業が、やはり期待を裏切らないものでした。 「Understanding Globalization」という授業では、そもそもグローバルとは何かということから始まり、時事問題についてグループディスカッションしたり、人権問題や難民問題について語り合ったりと、まさにグローバルの名にふさわしい授業でした。

成田:また、アメリカで学んでいくうちに、日本人は英語の基礎がしっかり身についている、つまり文法に強いということがわかりました。ルームメイトだったフランス人とドイツ人は会話こそ流暢でしたが、文法については私のほうがよほど理解していました。基礎をちゃんと学べているというのは、日本人のいいところですよね。

堀:確かにそう思います。「話すのが苦手」とディスカッションではあまり発言できないといった日本人の場合でも、読み書きの能力は長けているので、エッセイを書くとしっかりした内容になります。先生から「日本人のエッセイを読むと私も勉強になる」と言われたこともありました。

――留学生活は順調でしたか?

成田:最初の3カ月は言葉の壁が高く、精神的に追い詰められることもありました。そんな時は、留学経験のある日本の友人に電話して話を聞いてもらうことで、誰もが同じような思いを乗り越えているのだと自分を鼓舞しました。

堀:私は留学生活を通じて何度も浮き沈みがありました。授業についていけなくて落ち込むことが多かったですね。「ほかの人にはできていることがなぜ自分にできないのか、それは努力が足りないからだ」と自分を厳しく叱咤したり、その一方で、「人と比べてもダメだ」と思ったり。心が揺れている時は、日本人のルームメイトに話を聞いてもらったりしていました。

成田:留学して間もない頃は、英語力アップのために日本人とは話さないようにしようとしていました。しかし、日本人留学生の姿をあちこちで見かける環境下では、そういう気負いもストレスになっていたのでしょう。無理するのをやめたら堀さんたちとも旅行するようになって、すっかり楽しくなりました(笑)。

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英語を学ぶためには英語力が必要

――留学して良かったと思うのはどんな点でしょう。

成田:留学するまでは自分に自信が持てず、自分の考えを発言することを恐れているような面もあったのですが、帰国後は怖がらずに発言できるようになりました。英語でのディスカッションを経験したおかげです。

堀:私も留学前までは新しいことにチャレンジするのを怖がったり、尻込みしたりするタイプだったのですが、恐れずにやってみようと思えるようになりました。成田さんと同様、ディスカッションで思い切って発言するといった経験が、前向きな気持ちを後押ししてくれるようになったのだと思います。また、大学では英語を学ぶだけでなく、多様な文化を持つさまざまな国の人と知り合うことができたのも大きな収穫でした。

成田:留学したことで、自分には通訳は向いていないということもわかりました。通訳は英語力のみならず、日本語能力も求められる仕事だということを悟ったからです。私には、日本語のバリエーション豊かな言い回しを使いこなすことはできません。その代わり、現地ではたくさんの人に助けてもらった経験から、今度は自分が海外から日本にやってくる人をサポートしたいと思うようになり、現在は、ホテルなどを中心に就職活動をしています。

堀:将来は社会に貢献できる仕事がしたいと考え、できればグローバル化の進んでいる企業で、海外勤務も含め、英語を生かせる環境で働ければと思っています。

成田:私も海外で働く機会があれば、喜んで行きたいです。

――最後に、留学したい人へ向けてメッセージを。

成田:最初の3カ月、とにかく頑張ってください。そして平日は学業に専念し、休日は思いきり遊ぶ、と、メリハリをつけることが充実した留学生活を送るコツだと思います。

堀:留学前にどれだけ英語力を伸ばしておくか、それによって現地での生活は大きく左右します。私は1年の夏にTOEICで810点取ってから、2年で留学するまでに時間が空いたため、英語力を維持するのが大変で、留学した当初は本当に苦労しました。「英語で学ぶためには英語力が必要」なのです。帰国後に再びTOEICを受けたところ、900点取ることができました。けれど、これも維持する努力をしなければ、また英語力は落ちてしまいます。留学前、留学中、そして留学後も、常に英語を学ぶ姿勢を保つことが大切だと思います。

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成田 遥亮さん経営学部 経営学科 4年

  • 所属ゼミナール:石井晴夫ゼミナール
  • 千葉県立磯辺高等学校出身
  • 留学先:アメリカ カリフォルニア州立大学モントレーベイ校

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堀 友香理さん社会学部 社会文化システム学科 3年

  • 所属ゼミナール:小西康夫ゼミナール
  • 私立八戸聖ウルスラ学院高等学校出身
  • 留学先:アメリカ カリフォルニア州立大学モントレーベイ校

  • 掲載内容は、取材当時のものです