タイムを縮めるためには太ってはいけない。しかし、体を動かせばお腹が空くし、まだまだ食べ盛りの高校生――。陸上部の長距離選手だった、食環境科学部健康栄養学科の矢野浩幸さんは、運動だけで体重管理をする難しさを痛感し、「食」に興味を持つようになったといいます。そして、管理栄養士を目指すべく入学した先には、ボランティアという新しい世界も開けていました。

体重管理の難しさを体感、「食」への興味を抱く

高校時代は、陸上部の長距離選手でした。いい記録を出すためには体重管理も大事でしたが、顧問の先生からの食事指導は「おやつは食べるな」程度。しかし、どうしても練習量だけでは体重を管理することができません。女子部員が減量に失敗して、記録を出せない状況も実際に見てきました。それが「食」に興味を持つきっかけとなり、管理栄養士になって選手に栄養指導をしたいと考えるようになったのです。

大学では授業が毎日あるので、生活はおのずと規則正しくなります。自宅を出る3時間前に起床するようにしているのですが、これは朝に掃除や洗濯といった家事をしているから。大学に入学して初めてのひとり暮らしで、最初はそうした家事にどれくらいの時間がかかるのか見当もつきませんでした。そこで「3時間あれば大丈夫だろう」という感じで起きるようになり、それがそのまま習慣になっています。4限が終わった後は、19時まで図書館でレポート作成に取り組んでから帰宅。それでも終わらなかった場合は、帰宅してからも続きを書いています。

私は人混みが苦手なので、板倉キャンパスのサイズも学生数もちょうどよく、落ち着けます。特に図書館はお気に入りで、かなり活用しています。レポートを書くために情報収集をする時、インターネットは正しい情報と誤った情報が混在していて混乱するし、出典がわからず、参考文献として記載できないものも多いので、教授からも「あまり頼りすぎないように」と言われています。その点、書籍の情報は出典も明確で安心して引用することができます。普段は勉強に関する本ばかり読んでいますが、長期の休みの時は好きな本を借りて読書を楽しんでいます。

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ボランティアのきっかけは「ありがとう」と言われたこと

大学でどのようなサークルに参加するかは、特に決めていなかったのですが、1年生の時に、学業以外で力を注ぐことができる活動が見つかりました。それがボランティアです。東日本大震災が起きた時、私は中学3年生でした。自分も役に立ちたいという思いはあったものの、実家の愛媛から被災地へ行くことはかないませんでした。そこで、大学1年生の夏、東北復興支援ボランティアを募集していることを大学の掲示板で知り、「今なら参加できる」と宮城県の気仙沼市に行ってきました。

現地では保育所で子どもの相手をしたり、草刈りをしたり、海岸の清掃をしたり、障害者の就労施設を手伝ったりもしました。ボランティアは生まれて初めての経験でしたが、保育所で子どもたちに満面の笑みで「ありがとう」と言われときは、胸が熱くなりました。「自分にもできることがある、自分のしたことでこんなに喜んでもらえる」と、気づくことができたのです。その出来事がきっかけとなり、大学の学生ボランティアセンターにも入りました。これが私にとってのサークル活動です。最近では文京区のお祭りでフェアトレード商品を売るボランティア、板倉町の「わたらせ検定」の運営ボランティア、冬には新潟県山古志村の火祭りも手伝いました。これからも時間の許す限り、ボランティアを続けていきたいと思っています。

大学では勉強にボランティアに、そしてボランティアのない週末はアルバイトにと、毎日やるべきことがたくさんあって、退屈だと思うことがありません。それこそが「充実している」ということなのかもしれない、と感じて、大学生活を過ごしています。

矢野 浩幸さん食環境科学部 健康栄養学科 2年

  • 所属ゼミナール:調理学研究室
  • 愛媛県立八幡浜高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです