勉強よりもアルバイトや遊びを優先させるような生活を2年間送っていたという、文学部英語コミュニケーション学科の大久保成己さん。「このままではいけない」と危機感を覚えてからは、これまでの分を取り戻すかのごとく積極的に活動するようになります。アイルランド留学から戻ると、就職活動のために一人暮らしを始め、自分の将来と真剣に向き合いました。そうしてつかんだのは、大久保さんが地元の秩父を大好きなように、「地元が好き」と言う人が増える一端を担える仕事です。

アイルランド留学がターニングポイントに

2年生の春休みに大学の留学プログラムでアイルランドへ行きました。留学しようと決めたのは、それまで過ごしてきた2年間を振り返り、せっかく大学に入ったのにこれでいいのかという焦燥感があったからです。英語を学べる環境にいるのにそれほど得意ではない、海外に行ったこともない、こんなことでは駄目じゃないかと。何か動かなければと思い、留学プログラムに参加したのです。

現地では講義以外の時間でも英語に接しようと、友人と一緒に現地の学生に話しかけたり、仲良くなると一緒に食事に行ったりしました。海外留学しても周囲に日本人が多いと、ともすればその環境に甘えそうになりますが、現地の人たちと積極的にコミュニケーションを図ることで充実した留学となりました。

結果として、この留学がその後の自分の進路に大きな影響を与えるターニングポイントとなりました。帰国して3年生になった時点で、留学した時から維持している高いモチベーションのまま就職活動に入ったのです。これまで目的意識を持たずに時間を過ごしてしまった分、ここからすべての力を就活に注ぎ、納得の行く結果を出そうと決意しました。実家の秩父から都内までの時間を考えると、その往復の時間にもう1社説明会に行けると思い、一人暮らしを始めたほどです。大学の図書館で毎日のように会社のことを調べたり、学外のイベントにも参加したりして、あらゆる業種を検討し、自分が何をやりたいのか見極めていきました。

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地域とのつながりの強い仕事がしたい

海外へ出たことで、あらためて自分は日本が好きだということに気づきました。さらにその思いを掘り下げてみると、地元の秩父が大好きということが根底にありました。近隣の人は皆顔見知りで、道で会えば挨拶が飛び交います。東京で暮らし始めた時、隣の家の人とすら会話がないことに、本当に驚きました。

最初は大好きな秩父の活性化に尽力したいという思いから旅行会社を考え、次第に地域とのつながりの強い仕事として、不動産やハウスメーカー、信用金庫に興味が向きました。なかでも、地域を第一に考える信用金庫で働くことが自分の理想に近いと思い、最終的に信用金庫に絞って活動を進めました。内定をいただいた信用金庫は、人事の方の話を聞いた時点で「この会社に入りたい」と直感で思ったところです。ほかの信用金庫の話も聞きましたが、ここ以上のインパクトを感じた会社はありませんでした。

しかし、最終面接までに支店訪問をするように言われていたのですが、面接の際に1店舗だけ訪問したことを報告すると、面接官の方にがっかりされました。自主的にもっと多くの支店に訪れることを期待されていたのに、それに応えられなかったのです。その後、数店舗の訪問をしたものの、この信用金庫が第一志望だと言いながら最初は1店舗しか訪問していなかった自分の甘さを猛省しました。幸い内定をいただくことができましたが、忘れられない失敗です。

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友人から刺激を受け高いモチベーション維持

就職活動中には自己分析もしました。小学校から大学までをモチベーショングラフで表し、そのときの状況をノート1冊分で振り返るのです。これによって自分の長所だけではなく、自己中心的で自分本位な面にも気づき、かなりショックを受けました。同時に、小学校から高校までずっとサッカーのキャプテンを経験したのは、この短所がむしろ人をまとめるリーダーシップとして生かせたということもわかりました。このような自己分析によって、改めて自分がどんな人間なのかを知ると同時に、将来のビジョンを真剣に考えることができ、人間的に成長できたと感じています。

一緒にアイルランドに留学した友人たちは、非常に向上心があって就職に対する意識も高い2人でした。彼らと一緒に就職活動を進めることでモチベーションを維持することができました。3人で遅くまで図書館に残って調べものをして、その後は銭湯で遅くまで話し込んだのは、今となってはいい思い出です。アイルランド留学は、いい友人と出会う機会も与えてくれました。今後はまず仕事を覚え、目の前のことにしっかり取り組み、いずれは「地元の信金マン」としてその地域の方全員に知られているような、「信金マンといえば私」と思い浮かべてもらえる人間になっているのが目標です。

大久保 成己さん文学部 英語コミュニケーション学科4年

  • 内定先: 巣鴨信用金庫
  • 所属ゼミナール:倉田ゼミナール
  • 埼玉県立所沢高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです