小学校から飛び級をするなど、優秀な成績を収めていたダシビレグ・ザンダルマーさんは、16歳で初めて訪れた日本でモンゴルとの格差を目の当たりにし、大きなショックを受けたといいます。それがきっかけとなり、日本に留学する道を選びました。国際地域学部国際地域学科に入学して1年が経つ今は、学ぶことすべてをどんどん吸収し、自身の糧としている毎日です。

日本と母国の違いにショックを受け留学を決意

生け花や着物など、モンゴルにはない日本の美しい世界をテレビで見るたび、幼い頃から日本への憧れを抱いていました。そこで、高校の外国語の授業は日本語を選択しました。日本へ留学したいという気持ちが一気に膨らんだのは高校生の時、日本に10日ほど滞在するプログラムに参加してからです。日本の文化、近代的な施設、最新の技術を目の当たりにした衝撃は、今でもよく覚えています。モンゴルと日本の発展の差に、「同じ地球に暮らしながらなぜ両国がこれほどまでに違うのだろう」と強く考えさせられました。

当時はテレビの取材記者になることを夢見ていたのですが、この10日間の日本滞在で考えが変わり、モンゴルの人にも日本のように便利で安全な生活を提供したい、母国の発展のために貢献したい、と強く願うようになりました。そこで、そのためのノウハウを学ぶため、日本への留学を目指すことに。父と母が出会ったのはふたりの留学先のロシア、兄は現在スウェーデン在住と、海外に出ていくことに理解のある家庭環境にも恵まれました。

高校卒業後はまず、モンゴル文化教育大学で日本語通訳コースに進み、大学の研修制度を利用して再び来日。3カ月間の企業研修に参加しました。ところが、この研修中に東日本大震災が起こり、予定より1カ月早く帰国することになってしまったのが残念でした。ただこの時、大きな災害が起きてもパニックにならず列を乱すこともなく、落ち着いて行動している日本人の姿を目にして、「日本人は本当にすごい」と思いました。

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大学で学ぶことすべてが楽しい

留学先に東洋大学を選んだのには、いくつか理由があります。入学のハードルが高く設定されているものの、入学後に何ができるのか、その可能性や未来があまり見えない大学もありました。そんな中、東洋大学は入学後に努力するほど、たくさんのチャンスが与えられることが大きな魅力でした。次に、国際地域学部という全国でも珍しい学部があることです。国際経済学部や国際政治学部など特定の学問に絞った学部は他大学にもありましたが、私はさまざまな学問を幅広く学びたかったので、多方面からアプローチできる国際地域学部で学んでみたいと思いました。さらに、海外へ長期・短期留学できる制度が充実していことにも魅力を感じました。4年間の大学生活を送る間に、留学先の日本から英語圏の国へ短期間でも留学したいという希望があったからです。

東洋大学で学び始めて1年が経ちますが、希望通り、さまざまな学問を広く勉強できて充実した1年でした。学ぶことすべてが興味のあることばかりなので、毎日がとても楽しく充実しています。資源エネルギー・環境論のゼミに入り、その分野の知識や経験値が増えたのは大きな収穫でした。東京ガスを訪問し、太陽光パネルや水素自動車等について学べたのも忘れられない経験です。ゼミでは毎年夏にモンゴルで現地調査を行っていて、今年は私も参加できるのが今から楽しみですし、両親も喜んでくれそうです。また、英語のレベルアップを図るためにLEAPも履修していますが、その成果があり、履修して半年でTOEICスコアを50点伸ばすことができました。

サークルに入らない代わりに、大学のバリアフリー推進室で週に2回、英語のノートテイクのサポートをしています。アルバイトもいろいろ経験して、たくさんの人に知り合えたのも貴重な経験になりました。日本人は誰もが礼儀正しく、時間も守るのが当然のように暮らしていますが、私からすれば、それを当然と思えるのが日本人の素晴らしいところだと思います。

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初めて自分から積極的に学んだのが「日本語」

留学生が充実した大学生活を送るためには、本人の努力が欠かせません。学校外のアルバイトや私生活を両立させるのは大変ですが、つまずいた時もひとりで悩むのではなく、たくさんの友達を作って一緒に解決方法を考えた方がよりよい道が見つけられます。ボランティア活動や公式イベントに参加したり、興味のあるサークルに入ったりするのもおすすめです。仲間からパワーをもらい前向きな気持ちになれます。

私は幼い頃からコツコツと勉強はしてきましたが、これが好きだと断言できる科目がありませんでした。しかし、日本語だけは自分から夢中になって勉強し、大学の教科書も一人でどんどん進めてしまったほどでした。日本に興味を持ったことで、初めて自分から積極的に勉強したいというものができたのです。だから、今こうして日本で学べていることを、本当に幸せに思います。

将来は大学で得た知識や体験を生かし、JICA(国際協力機構)などの国際機関で働くことで、母国の発展に貢献できればと思っています。そのためにも、興味のある分野でもある国際協力論や資源エネルギー・環境論、まちづくりなどの授業を積極的に履修して、さらに専門理解を深めていきたいと思っています。

ダシビレグ ザンダルマーさん国際地域学部 国際地域学科 国際地域専攻1年

  • 所属ゼミナール:久留島守広ゼミナール
  • 出身国:モンゴル
  • 岩谷学園テクノビジネス専門学校日本語学科出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです