日本企業に勤めている親類から日本の話を聞くうちに、日本で経営知識を学びたいと思うようになったという経営学部マーケティング学科の丁飛さん。留学してからは「頑張った分だけ結果が出る日本で働きたい」と考えるようになったそうです。アルバイトをしてきたコンビニのPB商品やサービスのクオリティの高さ、徹底した衛生管理に感激したことがご縁となり、大学卒業後はコンビニの正社員として、新生活がスタートします。

パンフレットを読み東洋大学に「一目惚れ」

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中国では大人になってからも親に頼る生活を送っている人が少なくありません。私はそういう風潮になじめず、1日も早く自立した生活を送りたいと思っていました。日本が中国よりはるかに面積の小さな国にも関わらず、優れた科学技術を持ち、経済的にも発展していることが不思議で、日本のことをもっと知りたくなりました。日本企業で働く親類から話を聞くほどその思いは強まり、日本で経営知識を学び、日本の文化や伝統に触れてみたいと留学を決めました。

来日して初めて外食した時のことは今でもよく覚えています。牛丼店に入ったのですが、食券の販売機がすべてカタカナで何が書かれているのかわからず、物価の相場もわかりません。そこで100円というきりのいい値段のボタンを押してみたところ、出されたのは小さなサラダ。牛丼は食べられませんでした(笑)。

東洋大学に進学したのは、同じ日本語学校で学ぶ友人が持っていた東洋大学のパンフレットがきっかけでした。世界でも一流の日本企業の経営技術に興味があった私は、特に「売れる仕組みをつくる」マーケティングの勉強をしたいと思っていました。パンフレットを何気なく見せてもらったところ、書かれている内容が勉強したいことと合致していて、まさに「一目惚れ」状態でした。マーケティング学科が日本で最初にできた大学であるという点にも惹かれ、この大学でなら自分の学びたいことが必ず学べると感じたのです。

そんなときに起きた東日本大震災は、地震のない地域で育った私にとって大きな衝撃でした。周囲の人が一様に落ち着いていたことで、私も冷静さを取り戻すことができました。ただ、両親があまりに心配したので顔を見せて安心してもらおうと帰国したところ、留学を中止もしくは延期するよう強く言われました。ようやく東洋大学でマーケティングを学べるというところまで来たのですから、簡単にあきらめるわけにはいきません。必死に説得して何とか許してもらい、日本に戻り入学の準備を進めました。

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貪欲に学ぶ、それが大学生の醍醐味

入学すると最初の1年間は日本語の授業の難しさに苦戦し、4年間で唯一、単位を1つ落としてしまいました。それがあまりに悔しくて逆に発奮材料となり、授業だけでなく語学の勉強にもさらに力を入れるようになりました。経営の専門知識が豊富なだけでなく親切でグローバルな価値観を持つ先生から学ぶことができ、やはりこの大学を選んでよかったと改めて感じることが多々ありました。

また、必修や専門以外でも、社会に出てから役に立つと感じた授業は積極的に履修するようにしました。せっかく日本で学べているのですから、少しでも多くの知識を吸収したかったのです。日本企業の経営戦略を解析する「マーケティング特講」や日本小売業のロジスティックに関することを学べる「サプライチェーンマネジメント」はとても勉強になりましたし、体力アップと忍耐力をきたえる目的で、水泳やフィットネス、テニスなど体育の授業も受けました。

生活のリズムができてからは、「留学生連合会」というサークルに入って留学生新人歓迎会の司会進行を務めたり、友人たちと一緒に合宿で運転免許を取ったり、旅行も楽しみました。コンビニでアルバイトも始め、小さな店舗にさまざまな創意工夫が凝縮されていること、働く人の意識が高いことに感銘を受けました。

入学当初は卒業後の進路を具体的に決めていなかったのですが、日本で暮らすうちに努力が認められる社会のよさを実感し、日本での就職を考えるようになっていきました。ところが、自分がどんな会社で働きたいのか具体的なイメージがなかなか湧きません。その状態のまま就職活動を始めたところ、ある会社の面接で「あなたは本当にパソコンや機械に向かって楽しく仕事できますか」と質問されました。その時、人と交流したいという意識が強い自分には、人を相手にする仕事が向いているはずだと気づいたのです。

さらに友人から「1年生の頃からアルバイト先のコンビニに就職したいと言っていたね」と言われ、はっとしました。日本に来てコンビニに感激し、アルバイトを始めてからは「いずれこの会社の一員となって、日本だけでなく中国や世界中の人にこの便利さを味わってもらいたい」と思っていたことを、すっかり忘れていたのです。友人に言われて思い出し、原点に返った思いでした。

キャリアセンターの利用で就職活動が前進

就職活動の初めの数カ月、私は誰に相談することもなく単独で動いていました。合同説明会や企業セミナーにも参加し、ES(エントリーシート)の書き方やSPI(適性検査)対策の勉強もしましたが、いずれもいい結果に結び付けられませんでした。変化が起こったのは、一人での活動に限界を感じて大学のキャリアセンターを利用するようになってからです。まず、指導員の方にESの書き方を教えていただいたおかげで、より簡潔でわかりやすい文章が書けるようになりました。さらに面接の質問を多面的にとらえることも学べたのが、志望企業からの内定獲得につながったのだと思います。大学の就職支援には本当に助けられました。

入社後は2年で店長昇任、5年以内に東京で最も激戦区で売上一番のOFCになるのが目標です。同時に、東京オリンピックで来日する外国人観光客のニーズを満たしたいと思っています。そして大学で学んだ経営スキルと日本語、英語、そして、母国語の中国語という語学力を生かし、仕事を通じて日中を始めアジア各国とをつなぐ存在になれればと思っています。

東洋大学での学びを通じて経営的な思考が身に付いただけではなく、みんなで一丸となって頑張るというチームワークの大切さも学びました。留学を考えている人には、語学を頑張ることはもちろんですが、専門知識を磨くためにゼミに所属することをおすすめします。また趣味や興味のあるサークルにも参加すれば共通の話題で盛り上がれる友人もでき、日本での生活がもっと楽しくなると思います。

丁 飛さん経営学部 マーケティング学科4年

  • 出身国:中国
  • 内定先:株式会社セブン-イレブン・ジャパン
  • 中国浙江省海寧市紫微高級中学出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです