雑誌の記事を読んで微生物の不思議と奥深さに魅了された佐藤洵さんは、先進の研究学部を求めて生命科学部応用生物科学科に入学しました。「学ぶために入学したのだから」と、アルバイトをしながら勉強一筋の毎日。とはいえ、「大学生活が充実しているのは、勉強だけでなく、サークル仲間や学外での活動があるからこそ」とも語ります。自分が「面白い」と感じた方向に全力で突き進めば、楽しさが広がることを見事に体現しています。

学びたかったことに到達できた

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微生物に関心を抱いたのは、高校生の時でした。もともと生物に興味があったところへ、図書館でたまたま手にした科学雑誌の微生物特集を見て、その意外性のある性質に強く惹かれたのです。特に、人間や一般的な動植物はとても生きることのできない極限的な環境下だけで増殖することができる「極限環境微生物」について学びたいと思い、この分野の研究に力を入れている東洋大学に入学しました。

熱望して入っただけあって、授業はとても楽しくてたまりません。1年生の時は一般教養科目のほか、生物全般について学びました。2年生では「細胞利用」「微生物利用」「環境科学」と3コースの中から、迷わず「微生物利用コース」を専攻。微生物を培養して酵素を取り出したり、有効利用する価値があるかどうかを調べたり、さまざまな実験に夢中で取り組んでいます。微生物を扱いながら「すごいなあ」と感動することもあり、生命活動を目の当たりにする実験はいつも刺激的。学びたかったことを専門的に学んでいける環境に、ようやく到達できたという思いです。

希望の研究室に入れるよう、日々努力

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大学の学問が高校の学習と大きく違うのは、自分で授業を選択するということ。興味のある講義を選んで履修できるのはうれしくもあり、また責任も感じます。だからこそ、選択の自由の意味を履き違えてはいけませんし、自分を律していなければならないとあらためて実感しています。

3年生になると、研究室に配属されて、専門的な研究に取り組みます。私が希望しているのは、極限環境微生物や新しい微生物の働きを研究するほか、人間の身体によい働きをもたらすプロバイオティクス(乳酸菌)を実用化につなげる研究をしたり、バイオエタノールの生成などに取り組んだりしている研究室です。研究室の配属には成績が関係するため、現在は希望がかなうように良い成績を維持する努力をしています。一見あたりまえのことですが、心がけているのは、「授業にはきちんと出てノートを取り、その都度しっかりと理解する」「わからないことをその日に残さない」「不明点はすぐに先生に聞きに行く」ということ。授業中に理解できなかったことを先生に質問した際、納得できるまで教えてくださり、アドバイスもたくさんいただけました。自分が積極的に動いた分だけ、結果はちゃんとついてくるものだと思います。

サークルや学外での活動でさらに充実感を

私は大学に通うのが本当に楽しいんです。それは、学びたかったことを勉強できるからだけではありません。共に学び、活動できる仲間の存在があってこそ。サークルに所属し、信頼できる友人関係を築くことで、大学生活がより充実したものになりました。現在所属しているサークルは3つ。地域の人と協力して発酵食品を作る「微生物研究会」、学内のイベントを運営する「イベント実行委員会」、そして高校から続けてきた「テニス」。友達と過ごすことで気持ちの切り替えもでき、イベント実行委員会では、スケジュールを把握しながら進行するという経験が、全体を視野に入れて着実に実行するという責任感をもたらし、自分自身の成長にもつながりました。

また、「応用微生物学」の講義で醸造に興味を抱き、先生の紹介から地元酒造で研修させていただいていることも貴重な経験となっています。協調性を持ちながらこだわりある酒造りに携わる人々との交流によって、自分も将来は微生物を扱う仕事に就きたいという思いを新たにしています。

佐藤 洵さん生命科学部 応用生物科学科2年

  • 埼玉県立春日部東高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです