教師にとって何が大切か、再確認したボランティア

学生時代にしかできないことをやってみようと、カンボジアのボランティア活動に参加したのは3年次のこと。内容は、小学生の子どもたちに体育を教えるというもの。先生不足により、学校は読み書きや計算の授業のみで、子どもたちは体育の授業を受けたことがありません。そこで私たちは、オリジナルの準備体操や種目を取り入れた、全員参加型の運動会を企画。運動会という行事を先生と生徒が一緒に体験してもらうことで、みんなで一つのことに取り組む大切さも伝えることができ、充実したボランティア活動になりました。言葉がなかなか通じずに一つの種目をやるにしても相当な時間を費やしましたが、それでも皆で最後までやり抜くことができました。この経験を通して、子どもが理解できるまで、あきらめずに寄り添う姿勢が先生には大切だと、再確認できました。

父親の後押しや生徒の励ましで、教師を決意

就職活動中は食品・化粧品メーカーの就職説明会などにも参加。将来何をやるべきか、大いに迷っていた時期でした。そんなとき、教師の道に背中を押してくれたのが中学校の教員だった父親でした。人見知りしない性格や、塾講師・家庭教師として中学生を教えている姿を見て、教師の先輩としてアドバイスをくれたのだと思います。これを機に就職活動を辞め、埼玉県の教員採用試験を受験。母校の高校で行った教育実習では、生徒たちに理科という科目が面白いと思ってもらえるように、工夫を凝らしたプリントを用意して、分かりやすい授業を心がけました。最終日には、担当したクラス全員から色紙に激励の言葉までいただき、中には一度も話したことがない男子生徒から「先生がいなくなるのは寂しい!」と心温まるコメントも。そのおかげもあって、教師としてやっていくことに自信をつけることができました。生徒の理系離れが進む今、一人でも理科に興味を持ってくれる生徒を増やせるような授業をしていきたいと思っています。生徒はもちろん地域や保護者の方からも”信頼される教師”になることが目標です。

4年間の学び

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先生として大切なことが学べたボランティア活動

1年次

将来のキャリアに向けて、幅広く理科の知識を習得
将来、教師という道も考えて、化学系だけに特化せず、生物、地学、物理など幅広い科目を履修。中でも、苦手科目だった物理と地学は、何度もノートやテキストを読み返し、基礎知識習得の徹底に注力しました。

2年次

実験を通して、面白さと難しさの両面を体感
有機化学や無機化学の数多くの実験を通して、思い通りの結果が出ない研究の難しさと、失敗もまた貴重な研究データにつながるという考え方を得ました。また物性測定や分析技術などの専門研究に欠かせない技術も習得。

3年次

ボランティア活動での他大学生との交流が、自分の世界を広げるきっかけに
念願だったカンボジアのボランティア活動に参加し、現地の子どもたちと触れ合う機会を体験。この活動には全国各地にいる他大学生も加わり、彼ら彼女らとの出会いや交流も、自分の世界を広げるきっかけになりました。

4年次

生徒の立場に立った、わかりやすい授業を展開
母校の高校での教育実習。専門用語は、分かりやすい表現にたとえて授業を展開。オリジナルのプリントを用意して、大切な用語はそこに書き込めるように工夫もしました。生徒たちの立場に立った授業を心がければ「理系嫌い」の生徒はもっと少なくできる。そんな手応えを得られた授業でした。
高校時代のわたし
実験機会の多い、化学に力を入れている学校でした。入学当初は化学が苦手だったのですが、授業に好奇心を刺激され、次第に好きな科目に。3年生になるとセンター試験の過去問題が宿題として毎週出され、受験前には化学が得意分野に。センター試験の化学では高得点が取れました。

アドバイス

充実したキャンパスライフは、あなたの心がけ次第
大学時代は、自分が大きく成長できる時期だと思います。納得のいく進学ができなくても、気持ち次第で大学の4年間を充実したものにできるはず。だからこそ、何をするかが大切になってきます。たくさんの情報を集めて、その中から自分がやりたいことを選択し、行動すること。そうすれば、自然と進路は見えてきます。

須田 慶子さん理工学部 応用化学科4年

  • 内定先:埼玉県教諭(理科)
  • 埼玉県・私立東京農業大学第三高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです