作家になる夢をかなえたくて日本へ留学した李眞善さん。文学部日本文学文化学科での学び、指導教員との出会いにより、日本文学への興味の扉が大きく開いたそうです。卒業後は韓国へ帰国し、いつか自分の経験を生かした作品を世に送り出したいと夢はふくらみます。

なぜ日本を選んだのですか?

作家になりたいという夢があり、韓国で高校卒業後に一度、文芸創作の大学に入学しました。しかし、思い描いていた学びとは内容が違い、さらに創作活動をするにはまだ自分が若く経験が浅いということに気づき、学校を辞めて、日韓中の貿易会社に就職しました。日本とのやり取りには初め、英語を使っていましたが、日本人とは英語よりも日本語で話せた方がスムーズにやり取りできるとわかり、独学で日本語を学ぶようになりました。韓国では日本文学が翻訳されているため、いろいろな作家の作品を読むことができます。私は近現代文学、なかでも川端康成が好きで、彼の作品を日本語で読んでみたいという気持ちから、日本文学への興味がわき、文学を通じて、韓国と日本の文化の違いを知りたいと思うようになりました。

東洋大学で得たものは何ですか?

山崎甲一先生との出会いが何よりも大きかったです。東洋大学を志望したのも、山崎先生のもとで学びたいと思ったからです。日本語学校で学んでいるとき、都内の大学で近現代の作家について書かれた論文を調べたところ、東洋大学の先生の論文がとても多く、なかでも、私は山崎先生のもとで学びたい、自分が求める学びはこの先生となら追究できると思いました。厳しい先生だという評判でしたが、とても優しく温かくご指導くださり、先生の価値観にはずいぶん影響を受けました。4年間先生のもとで学びましたが、まだ学び足りないぐらいです。

勉強していて楽しいこと、難しいことをそれぞれ具体的に教えてください。

勉強とは、単に知識を得るではなく、人間として他人に優しくするためにすることなのだと、文学を通じて学びました。また、私たちがつまずいたとき、文学から学ぶことはとても多いと思います。人は何故書くのか、そこには作者の思想や読み手に伝えようとするメッセージがあるのです。近現代の日本文学を学んでみて、時代が大きく変わろうとしているなかでどのように生きるべきかと葛藤している日本人の姿を垣間みることができました。

将来の目標は何ですか?

作家になる夢はいまでも変わりません。東洋大学を卒業した後は一旦、韓国へ帰ることにしました。卒論で日本と韓国の文学を比較研究しましたが、日本の研究だけでなく、韓国の文化や経済事情についてもしっかり理解を深めることが大切だと痛感しました。日本と韓国の文化を客観的に見つめられるような力をつけて、再び日本に戻ってくるつもりです。そして、自分のさまざまな経験を活かして、いつか作家として作品を世に出すことができればと思います。

これから大学に進学を予定している留学生にメッセージ(アドバイス)を伝えてください。

私は韓国にいる際に大学選びを一度失敗しているので、日本で大学を選ぶときにはとても慎重になり、自分に合う大学を選ぼうとよく調べました。ですから、みなさんには私のような失敗はしないでほしいと思います。自分に合う大学とはどんな大学かを考えて選んでください。
東洋大学は私にとって、親のような存在でした。大学の教職員のみなさんは面倒見がよく、在学生たちもやさしく接してくださいました。自分がどうしたいのかを見つめさせ、成長させてくれる場所だったと思います。東洋大学で4年間学ぶことができて、ますます日本という国が好きになりました。

李 眞善 Yi Jin sunさん文学部 日本文学文化学科4年

  • 出身国:韓国
  • 出身日本語学校:国書日本語学校

  • 掲載内容は、取材当時のものです