「恩師のような愛情あふれる先生になりたい」という長年の夢をかなえ、神奈川県相模原市の教員採用試験に合格した高根夢子さん。目標を持って過ごした生命科学部食環境科学科での大学生活を通じて、「自ら学ぶ力、乗り越える力」が身についたそうです。いよいよ来春から、市立中学校の理科教師として教壇に立ちます。

恩師の言葉に導かれて

「あなたは教師に向いているわ。先生になったら?」
中学3年生の夏、敬愛していた中学校の英語の先生が病気で亡くなりました。そして、入院される前に言われたこの言葉に導かれるようにして、私は教師を目指すようになったのです。先生のように明るくエネルギッシュで、どんなときも生徒に寄り添う、愛情あふれる教師になりたい。中学生の頃からずっと、その先生は私のあこがれの存在です。

理科を選んだのは、私の大好きな教科だったから。小学生の頃から実験や観察に夢中で、新しいことを知ったり体験したりするときの、ワクワクと胸が躍る感覚にすっかり魅了されていきました。中学校でも高校でも理科好きは変わらず、気づいたら「理科の面白さを子どもたちに伝えたい」という思いを持っていました。

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自ら学ぶ力を

大学に入学してからも、教師になりたいという思いは揺らぐことはありませんでした。ただ、高校の教員になるか、中学校の教員になるか、その選択にはとても迷いました。そこで、自分の性格や能力を冷静に分析し、自分をより活かせるのはどちらかと考えていきました。そして、私の明るく、人と分け隔てなく接することができるという特性は、思春期で多感な中学生の指導に活かせるだろう、という結論に至ったのです。

「中学校の理科の教師になる」という目標が明確に定まると、大学での講義や研究にもさらに力が入るようになりました。私が所属する科学教育研究室では、中学校や高校の授業で行う理科実験についての実践研究をしています。実験を計画し、実行し、考察し、その結果を受けて改善点を検討する。大学では、これらをすべて自分で考えて自分で行います。失敗もたくさんしましたが、大切なのはそれをどう克服し、次に活かしていくかです。大学での学びを通して得た専門知識、そして「自ら学ぶ力、乗り越える力」は、社会に出てからも必ず役立つものだと思います。

指導力と愛情と

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大学での学びや就職活動を通して、「指導力と愛情を兼ね備えた、信頼される先生」という、自分の目指す教師像が明確になりました。指導力については、実験や観察などの体験学習を多く取り入れ、「理科の知識が増えると世界の見え方が変わる」ことを実感してもらい、学ぶ喜びや楽しさを伝えていきたいと思っています。そして、生徒が「愛されている、気にかけられている」と感じられるよう、生徒と信頼関係を作っていきたいと思っています。

また同時に、中学校の教員という仕事に対する責任感や使命感も感じるようになりました。私がそうであったように、中学校時代に出会う先生が生徒に与える影響は、とても大きなものです。私自身も人間として日々成長していけるよう、自分磨きを続けていきたいと思っています。

長年の夢がかない、今は春から始まる教師生活への希望に胸をふくらませています。教師の道を進むきっかけをくださった天国の恩師のように、笑顔が絶えない温かい先生になれるよう努力していきたいと思います。

高根 夢子さん生命科学部 食環境科学科4年(現・食環境科学部 食環境科学科)

  • 内定先:神奈川県中学校教諭(理科)
  • 所属ゼミナール:科学教育研究室
  • 埼玉県立不動岡高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです