社会文化システム学科の髙澤悟実さんの大学生活は、インターンシップなしには語れない。幅広く自由に学びたいと、フィールドワークにインターンシップにと、教室を飛び出して学んできた。現在は、休学制度を利用して岐阜県の料亭で住み込みのインターンシップに挑戦中だ。地域に生きる人たちのためにできることを考える毎日で学んだこととは。

社会や人とつながる学びの面白さを実感

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社会学部を志望したのは、幅広いテーマで学ぶことができそうだと感じたからです。そう感じたのは、社会学部出身の父の影響もあるかもしれません。英語が好きで、国際関係系を学べる大学への進学を考えていましたが、志望校を選ぶ際に、英語だけや国際関係だけと視野を狭めたくないという思いから、幅広いテーマから自由に学べる社会学を学ぼうと決めたのです。いろいろな大学に社会学部があるなかで、東洋大学の社会文化システム学科を選んだのは、カリキュラムを見て、興味深い講義名がいくつもあったこと、そして、フィールドワークが多いことが決め手となりました。私は部屋でじっとしているより、外に出て活動することが好きなので、自分にぴったりの学科ではないかと思ったのです。

入学して間もなく、ゼミナールでフィールドワークがありました。長津一史先生の指導のもと、どのように浅草で老舗店が続いてきたのかを調査するという活動でした。1年生のうちはゼミナールに費やす時間が多く、社会とのつながりを重視したフィールドワークを通じて、手応えを感じながら学んできました。

2年生では、夏休み中に岐阜県のNPO法人G-Netを通じて、地域協働型のインターンシップを経験しました。鉄道が好きな私は、岐阜県の長良川鉄道を活性化させようというプロジェクトを掲げたNPO法人ぶうめらんをインターンシップ先に選び、そこで6週間にわたって、長良川鉄道のPRや町づくりについて考え、フリーペーパー発行の仕事に携わりました。長良川鉄道について2ページの記事を書くため、1日中電車に乗り、乗客に「長良川鉄道への想い」をインタビューして回りました。取材した記事はフリーペーパーとして発行したほか、9両の鉄道の車内にも貼り出す企画も実現させることができました。聞けば聞くほど、いろいろな人の人生に鉄道がかかわっていることを知り、鉄道の仕事や広報の仕事に興味がわきました。そして、夏休み明けにこの経験について、1年生に向けてプレゼンテーションをしました。

岐阜の料亭で1年間のインターンシップ

こうして社会や人とつながることへの興味がふくらんだ私は、3年生になるにあたり、一つの決断をしました。1年間休学して、今度は長期のインターンシップを挑戦することにしたのです。すっかり岐阜県のとりこになってしまい、2年生の夏休み同様にG-netが募集している地元企業でのインターンシップに申し込みました。主に東海地域から同期として20名の学生が集まり、それぞれが違ったインターン先を選ぶのですが、私は料亭を選択し、おもてなしの心を学んでいます。

毎朝9時30分に出社し、午前中はオフィスで営業や企画の仕事を担当し、午後は15時から和装に着替えて、料亭で席の準備をします。インターンシップが始まったばかりのころは、女将さんに「あなたは接客が苦手でしょう?」と言われ、自分では人と接することは得意だと思ってきただけに打ちのめされた気分でした。でも、思い返してみれば、お客さまと話すことに緊張してしまい、なかなかうまく会話を運べていなかったのです。最近ではだいぶ場の空気にも慣れ、常連のお客さまの顔も覚え、会話を弾ませられるようになってきました。

ローカル線の仕事に魅力を感じて

卒業後は、地元・千葉県でローカル線の運転士になりたいという夢を描いています。鉄道業界には漠然としたあこがれがあり、長良川鉄道で地域の人々とふれ合ったことから、ローカル線の良さを実感したのです。都会では電車は移動手段にしかすぎませんが、地方では鉄道が人々の人生を運んでいる感覚があると思うのです。入社したら、イベント列車の企画などもしてみたいですね。

「私の大学生活=インターンシップ」といっても過言ではないような日々を過ごしていますが、大学時代だからこそできる経験をたくさん積んで自分を磨き、これからも可能性をどんどん広げて学んでいきたいと思います。

髙澤悟実さん社会学部 社会文化システム学科 3年

  • 千葉県立幕張総合高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです