絵を描くのは苦手。野球が好きで、デザインとは無縁の生活を送っていたが、偶然出会ったインテリア雑誌が、若月貴裕さんを東洋大学の朝霞キャンパスに引き寄せた。今ではコンピュータグラフィックス(CG)三昧の学生生活を送り、建築設計に没頭する日々。面白くてたまらないというそのCG技能が決め手となって、就職先も決まった。好きが高じて選んだ道で、柔軟な発想力が開花する。

偶然が重なって選んだデザインの道

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高校までは野球に夢中で、デザインにはまったく興味がありませんでした。そんな私が初めてインテリア雑誌を手に取ったのは、確か高校2年生のとき。部屋の模様替えをしようと思い立って、何となく眺めていたことを覚えています。

パラパラとページをめくるうちに、インテリアって面白いかも?と思うようになりました。それが、この学問と出会う最初のきっかけでした。

私は文系だったので、文系でも受験できるデザイン系の学科はないだろうかと探しました。そしてたどり着いたのが、東洋大学のライフデザイン学部人間環境デザイン学科でした。

こんな偶然の連続がこの学科へと私を導いたのですが、入学当初はなかなか授業にもついていけず、戸惑うこともありました。

コンピュータグラフィックス(CG)との出会いで目覚めた自分

「進路を間違えたかな」と、後悔しはじめていた2年次。ちょうどその頃、本格的に設計の授業が始まりました。そこで「自分の思い描いたものが実体化する」という面白さに目覚めなければ、別の道を探すことになっていたかもしれません。

絵も満足に描けなかった自分が夢中になったのは、なんとCGでした。画面の中で描いたものが形になるときの感動は、実際に味わうまで想像もつきませんでした。

建築は、構造的にも理論的にも「カタイもの」だと思っていました。しかし、先生方や先輩方は、もっと自由でいいんだ、もっと柔らかくていいんだと教えてくれました。カタイだけでは、人も建築も、もろく弱いものになってしまうからなんですね。

この学科は、文系の方でも挑戦できる学科だと断言できます。大学へ入学してからデザインを学び始めた学生だからこそ、柔軟で新鮮な発想ができることもあります。大学からスタートしても、決して遅くはないのです。

気軽に見て、体験してみる

この学科では、1・2年次にデザインの基礎を学び、3年次から「空間デザインコース」「生活環境デザインコース」「プロダクトデザインコース」と各専門コースに分かれてより学びを深めます。コース選択までの2年間は自分の好きなものを見つけ、進みたい道を探す時間に充てることができるのです。

「絵が描けないから」「デザインなんて難しそうだから」と構えずに、まずは好奇心の赴くまま、オープンキャンパスや“学び”LIVE授業体験などの入試イベントに参加してみるとよいでしょう。

朝霞キャンパスにある人間環境デザイン学科実験工房棟は、私が所属しているゼミの内田先生が改修した、言わば「作品」です。外側は古い校舎のままで、内側がリフォームされているのですが、その「ビフォア・アフター」ぶりがスゴイ! どこがどうスゴイかは実際に見ていただくとして、ここで学ぶ私たちは、建築家である先生の手の内を見せてもらいながら学んでいるようなものです。あまり意識しないままに、さまざまなものを吸収しているのだろうなと思います。

ヒントはいつも目の前にある。そう思えることは、とても心強いことではないでしょうか。

若月貴裕さんライフデザイン学部 人間環境デザイン学科 4年

  • 所属ゼミナール:内田祥士ゼミナール
  • 新潟県立長岡大手高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです