障がいのある人、高齢者など、社会的に不利な状況にある人の自立を助けるためのさまざまな社会福祉制度。社会福祉学科では、福祉に関わるさまざまな問題の現実を知り、その対応策を考えることを重視し、実務面を考慮した授業を充実させている。2年生の市川綾夏さんの目標は、社会福祉士の資格を取得し、子どもと直接関わる仕事に就くことだ。

学ぶほどに深い社会福祉

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高校時代にボランティア部で活動していた私は、老人ホームの夏祭りのお手伝いや、国際友好フェアの屋台のお手伝いなど、3年間ずっと、地域のボランティア活動に参加してきました。こうした活動を通し、「将来、福祉関係の仕事がしたい」「福祉のことをもっと勉強したい」と強く思うようになっていた頃に、ちょうど東洋大学の社会福祉学科のことを知りました。

学び始めてみて、自分が高校時代に見てきたことや経験してきた活動は、社会福祉のなかのほんの一部だったのだとわかり、驚きました。社会福祉が対象とする範囲はとても幅広く、学ばなくてはいけないことがたくさんあるのです。思っていた以上に奥深くて、学びがいがあります。

たとえば、今まで言葉だけでしか知らなかった「孤立問題」や「ホームレス」。深く学ぶうちに、そういった問題にはさまざまな要因があることがわかりました。お年寄りだけの問題、失業した人だけの問題ではなく、家族や地域のかかわり方、経済問題など、解決するためにはあらゆる視点からとらえる必要があります。苦しんで困っている人を助けるために、制度や法律、心の問題、経済のことなど、いろいろな視点や知識が求められるのです。そうして学ぶほどに、私は将来、福祉関係でやってみたいと思うことがどんどんふくらんできました。

サークルやバイトでも社会貢献活動

教室での学びも大事ですが、実際に福祉の現場で体を動かして、人と触れあうという学びも大切だと思います。そこで私は、大学のボランティアサークルで活動しています。今年の春休みには、メンバーと一緒に東北の被災地へ行き、3泊4日でボランティア活動をしてきました。集会所に寝泊まりして、宮城県の気仙沼市でイベント運営のお手伝いをしました。会場を盛り上げるため、着ぐるみの中に入るなんて経験もしました。そうした活動を通じて、東北の人たちが、少しでも笑顔になってくれたのを間近に感じられたのはいい経験でした。

ほかにも、普段は小学校の学童保育で指導員のアルバイトもしています。小学生はかわいくって仕方がないですね。話し相手をしたり、鉄棒や追いかけっこをしたりして、一緒に体を動かして遊んでいます。子どもたちを通じて学ぶことも本当に多いです。

社会貢献者賞で迷いが消える

高校時代からずっと、ボランティア活動に携わるなかで、正直なところ「ひょっとして偽善なのかな、自己満足なのかな」と悩むこともありました。私としては、その時々でお会いするお年寄り、小学生、外国の方たちと交流できることが純粋に楽しく、お手伝いできることがうれしいのですが、ただそれでいいのかなと、迷いもあったのです。

そんな時、所属していた高校の部活動の先生に、高校時代からの活動記録をまとめることを勧められ、その記録がこの春、「東洋大学社会貢献者賞」を受賞することができました。東洋大学に在籍している学生で、社会福祉や教育活動などの社会の各分野で貢献した人を表彰する制度です。今まで自分がしてきたことを認めてもらえた気がしてうれしく思い、迷いが吹っ切れた気がしました。

今はまだ2年生ですが、将来はやはり福祉にかかわる仕事をしたいと考えています。そのためには、卒業までに社会福祉士の受験資格が取れるようにしっかり勉強しないと。これからはゼミや実習など、いろいろな授業があるので、今からとても楽しみです。

市川綾夏さん社会学部 社会福祉学科 2年

  • 所属ゼミナール:後藤ゼミナール(前佐藤ゼミナール)
  • 埼玉県・私立大宮開成高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです