西洋史に魅力を感じて史学科を選択した白柳知咲さんは、現在、中世における楽師について研究を深めて卒業論文に挑む一方で、史学科で得た論理的思考力と英語力を武器に就職活動を実らせようとしている。史学の魅力は「自分の知らない時代・場所で、知らないままに積み重なっていく歴史をひも解いていくこと」にあると白柳さんは語る。
世界史が好き!もっと学びたい!
高校3年生のとき、世界史の教科書を編纂したという先生が着任されました。夏休みに、その先生による世界史の補講を受けたことで、私はより世界史が好きになりました。「世界史って楽しい。もっと西洋史を学びたい」と思いが強くなり、私は史学科のある大学を探しました。でも、史学科のある大学はそれほど多くなく、選択肢もあまり多くはありませんでした。高校の先生からも「史学科はあまり就職に強くないんじゃないか?」と気になることを言われました。それでもやはり西洋史を学びたいという意欲は薄れず、東洋大学文学部の史学科への進学を決めたのです。
母からは「東洋大学で西洋について学ぶってどうなの?」と疑問視されましたが、入学して分かったのですが、東洋大学では西洋史を専門とする先生が多くいらっしゃるので、学習環境に抱いていた不安はすぐに解消されました。
「自分が知らない」ことの魅力
私は世界史の中でも特に中世が好きで、今は中世の音楽家である「楽師」について研究を進めています。中世はキリスト教が支配した世界。建築にしても芸術にしても、生活のすべてのベースにキリスト教が存在しているという、今の私たちからすると不思議な時代です。
そうした時代において、楽師はキリスト教とは関係ない演奏をすると、当然のように糾弾されてしまうのですが、それでもなお楽師として生き続ける彼らの中には何があったのか、当時の人と音楽とのかかわりをからめながら卒業論文としてまとめていきたいと考えています。
世界史の魅力は、何と言っても「自分の知らないところで、知らない歴史が積み重なっていく」ことにあると感じます。西洋史の文献をひも解いていくと、知らない時代に、知らない場所で生きていた人の息づかいを、確かに感じられるのです。
論理的思考力で就活に挑む
今は教育業界をめざして就職活動に励んでいます。大学の職員になれたら…という思いもあり、教職資料室のアルバイト募集をチェックしながら、塾業界など広く教育に携われる職種を探しています。
「就職に不利では?」と高校の先生に言われた史学科ですが、史学科の一番の強みは、論理的思考力が身につくことにあります。理路整然と、筋道を立てて考え、難しいことをわかりやすく相手に伝え、相手と協調していくスキルは、社会でも必要とされる力だと言われています。
そして西洋史を学ぶ以上、英語は必須です。西洋史の卒業論文では、西洋の論文を2つ読み、参考文献としなければなりません。英語で書かれた史料や原典が読めなければ話にならないので、自然と英語力も身につくのです。そう考えるときっとみなさんも、「就職に不利では?」と不安に思う気持ちも和らぐのではないでしょうか。
白柳知咲さん文学部 史学科 4年
- 所属ゼミナール:鈴木道也ゼミナール
- 東京都立小金井北高等学校出身
- ※掲載内容は、取材当時のものです