文学部教育学科初等教育専攻では、2年次から小学校での実習を体験する「往環型(おうかんがた)教育実習システム」を取り入れている。「学年が違うと遊び方も話し方も変わるのだと、現場で実感しました」と語る後藤洋彰さんも、小学6年生と小学1年生のクラスと触れ合ってきた。「どの子もかわいく、早く先生になりたいです」とその日を夢見ている。

ピアノ実技に苦戦

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小学校の先生になりたい。それは、幼いころからずっと思い続けていた夢でした。中学や高校に進学し、大学受験を経ても、その想いが揺らぐことはありません。私が小学生のときに出会った先生方は、どの先生も自分にとっては素晴らしい先生ばかりで、いつか自分も小学生たちにとって「頼りになる先生」になりたいと思っています。

ただ、そうは言っても、東京都内の私立大学で小学校の教員免許を取得できるところは、多くはありません。東洋大学の文学部教育学科初等教育専攻に集まってくるのは、私のようにはっきりと「小学校の先生になりたい」と決意している学生ばかり。みんなが同じ志で小学校教育へと意識が向いていて、クラス全体でお互いのスキルを高め合い、刺激の多い毎日を過ごしています。

小学校で全科目を指導できるように各科目の教育法は必修ですが、音楽経験がカラオケ程度だったので、私は音楽実技に苦戦しました。ピアノなど触れたこともなかったのに、子どもたちの歌の伴奏ができるようにならなければならないのです。そのため、毎週のようにクラスメートとピアノ実習室に通い、励まし合いながら練習しました。そして、短い曲なら何とか譜面を見れば弾けるまでに上達したんですよ。

2年生から毎週、実習を経験

教育学科初等教育専攻の特長は、「往環型(おうかんがた)教育実習システム」です。一般的な教員養成課程は、1~3年生で教科指導法や教育についての専門科目を習得したあと、4年生で教育実習を行います。しかし、東洋大学では2年生から大学での授業の合間に、毎週1日、小学校に通って実習を継続して体験できるのです。文京区や北区、板橋区、練馬区、荒川区、さらに東久留米市の公立小学校とも連携し、同じ小学校に2~4年生の3年間、毎週通います。

小学校では、実際の授業の様子を見学しながら、先生方の補佐をします。「机間(きかん)指導」といって、机の間をぐるぐる回って、分からなそうにしている子どもに声をかけたり、集中力を切らしている子を励ましたりするのです。休み時間も、子どもと一緒に過ごします。どの子もみんなかわいくてたまりません。私は担任の先生とも立場が違うので、子どもたちが作るコミュニティに入れてもらえるのです。どの子も授業とは違ってリラックスしています。先生に見せるのとは違う表情を見ることができ、子どもなりの大切な話を聞くことができて、新鮮です。

体験活動を取り入れた授業をしたい

4年生になると、他の大学の教員養成課程と同じように、4週間の教育実習があります。2年生から「往環型教育実習システム」で毎週通った小学校で実習できるので自分にとっては安心して取り組めます。いよいよ教育実習に行くのですが、教育実習で初めての小学校で実習するのではないので、緊張しなくはないのですが、気持ちはいくらか落ち着いています。

就職するまでの間に、専門科目を決めなければなりませんが、私はまだ迷っています。英語が得意なので、外国語活動の専門の先生になろうかと考えているところです。もし担任クラスを持てるようになったら、体験活動を多く授業に取り入れられるようにしたいですね。教科書と黒板だけの授業だけでなく、いっぱい遊ばせたり、体を動かしたり、経験で学ばせてあげたいのです。子どもたちの興味の持ち方が、ぜんぜん違うでしょうから。子どもたちがのびのびと学べる環境を、さりげなく整えてあげられる先生になりたい。それが私のめざす教師像です。

後藤洋彰さん文学部 教育学科 初等教育専攻 4年

  • 東京都立国分寺高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです